第381回 いまだにこんな社説が書かれているようでは・・・

  「苦言熟考」が<政治家(とマスコミ)は移民受け入れへの意見を真剣に語り始めるべきです。移民受け入れに反対する者は、それなしでもこの国は将来やっていけるという根拠を示すべきです>と主張してから8年以上の年月が過ぎています。
  そこで、毎日新聞の次の社説に目を通してください。
  この8年以上の期間にも日本政府が実効ある政策を事実上何も打ち出していないことが分かります。
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  【外国人就労の受け入れ拡大 共生政策も同時に議論を】社説 毎日新聞 2018年6月7日 東京朝刊 (https://mainichi.jp/articles/20180607/ddm/005/070/052000c
  <政府が「骨太の方針」の原案で、外国人就労の受け入れ拡大を打ち出した。原則として認めてこなかった単純労働にも門戸を開くもので、実質的な政策転換につながる>
  <外国人労働者の拡大は世界的な動きであり、経済成長のためにも欠かせない。人口減少が進む日本で検討していくことは当然だ
  <ただし、それによって増加する外国人労働者に国内での共生を促す政策は見当たらない
  <人手不足解消という喫緊の課題にばかり目が行き、働く外国人の生活を守る視点が欠けているように思える。労働力の穴埋めと考えるだけでは、将来に禍根を残すことになりかねない
  <優れた外国人材の獲得は中国や韓国、タイなども進めている。劣悪な条件を強いるようでは、獲得競争で後れを取りかねない。賃金などの労働条件はもちろん、社会保障などを含めた環境の整備が求められる
  <目指すべきは、外国人労働者が地域の人々と交流し、共に生活を営む社会であろう。そのためには、官民で就労受け入れを巡る議論を深める必要がある
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    [2018年7月15日に追加 参考記事] 人口を考える 縮む日本社会 未来の危機を直視する時 毎日新聞2018年7月15日 東京朝刊 https://mainichi.jp/articles/20180715/ddm/005/070/044000c
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  [2018年6月17日に追加 参考記事](http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2018061702000158.html)【週のはじめに考える 多死社会がやってきた】
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  [2018年6月10日に追加 参考記事] このまま行けば2800年には200万人? 深刻な日本の人口減少 (https://newsphere.jp/national/20180608-1/
  <最後の可能性は移民受け入れだが、2007年には30万人だった外国人労働者の数が2017年にはほぼ130万人と激増しているにもかかわらず、政府は永住資格の付与をほとんど行わず、長期滞在をさせないよう、家族の呼び寄せをほとんど許可しないとクオーツは指摘する。人口問題の解決には移民受け入れは必要であり、それを拒めば、いつの日か日本人はほとんどいなくなるだろうとしている>
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  「苦言熟考」の記事も読み返してください。
  【第143回 “少子化”で国が傾く】(2010-01-01)(http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100101/1262298470
  <2060年には総人口は2000年より2600万人も減少しているだろうというのです。労働生産性の向上などでは絶対に追いつけない類の減少です、これは>
  <国民を豊かに保つための生産を誰が担うのでしょうか。農業の後継者は?生産した物をだれが消費する?国を動かすのに必要な税金はだれが納める?高齢者を誰が看護・介護する?>
  <上の統計や調査・研究に見られるような急激な人口の減少は、間違いなく、国を傾けるのです>
  <人口対策には即効薬はないのですから、政権を担当するのが何党であれ、国の指導者は数十年先を見つめながら、国民の目に見える形で、何かに着手しなければならないというのに……>
  <将来の人口を増やすための方策は二つしかないように思えます。1.若い世代に引きつづいて子を、一夫婦当たりで平均2人以上生んでもらう 2.日本への移民を積極的に受け入れる>
  <2人以上生んでもらうためには何をすべきか?保育所などを増やし、充実させて、子を産みやすい環境を作る?育児休暇をもっととりやすくする?子を持つ家庭に養育費を支給する?高校までの授業料を無償化する?>
  <そういう個々の対策も必要で、ある程度は有効でしょう。だが、いままでできていなかったことをやろうというのは、あくまでも現状の“繕い”です。そこには子育ての“将来像”がまったく見えていません>
  <40年後、50年後には日本はこうなっています(こういう国になろうといま最大限の努力をしています、だから安心して家族を持ってください、子を産み、育ててください)という“像”がないのです。親に、あるいは親になろうという世代に、明るい展望を与えていないのです>
  <さて、日本。移民の受け入れをどうするかについて真剣に発言している政治家やマスコミはまだいません>
  <「苦言熟考」はこれまでに、看護士・介護士の国家試験を外国人が英語で受けられ(合格者が増え)るようにすべきだと訴えています。移民受け入れを肯定する意見です。この辺りから始めるべきだと考えているわけです>
  <"政治家(とマスコミ)は移民受け入れへの意見を真剣に語り始めるべきです。移民受け入れに反対する者は、それなしでもこの国は将来やっていけるという根拠を示すべきです
  <多くの民族系の人々が住み合うなかで自らを鍛え行く……。日本人はそんな覚悟をしなければならなくなっている−と思います>
  <日本は「数十年後に国が傾くかどうか」の分岐点に差し掛かっています。何かを始めなければならないときに来ています>
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