第348回 安倍首相 自分の大嘘に自己陶酔する偏執者

  「苦言熟考」は2013年10月4日に【第290回 嘘つき、恥知らず、安倍首相】と題する、安倍晋三首相の虚言を批判する文章を書きました(http://d.hatena.ne.jp/kugen/20131004/1380836135)。
  二年近くが過ぎたいま、安倍首相の大嘘つきぶりがますますその度を強めています。ほとんど“正気を失った”レヴェルに到達していると思えます。
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  たとえば、2015年7月12日の日刊ゲンダイの【「戦闘地で撤退は通用せず」首相は百田氏との対談で語っていた 】という記事を見てください(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/161671)。
  こう書かれています。<安倍首相は10日の衆院平和安全法制特別委員会でまたまた、「審議は深まった。決めるべき時には決めていただきたい」と答弁、15日の委員会での戦争法案強行採決をにおわせた。採決を急ぐ理由は明らかで、審議をやればやるほど、議論が深まるどころか、ボロが出るのだ。この日も答弁もむちゃくちゃだった> < 安倍首相は自衛隊が戦争に巻き込まれない根拠として「戦闘が起きれば、ただちに部隊の責任者の判断で一時中止、あるいは退避する」と繰り返している> <ところが、安倍首相自身が、「そんなことできるわけがない」と語っていたのが、国会で暴露されたのである> <安倍首相は(ワックから出された安倍首相と百田尚樹氏との対談本、「日本よ、世界の真ん中で咲き誇れ」の中で)こう語っていたのである。〈私はASEANの国に説明しました。「オランダ軍が攻撃を受けて、日本に助けを求めてきた際、日本は『ここは戦闘地域になったので、私たちはこれから撤退します。お先に失礼しますが、オランダ軍の皆さん、どうか頑張ってください』と言い残して帰国することになるんです」と> <(百田氏が「国際社会では通用しませんね」と言うと)通用しません。そんな国とは活動したくないと思われて当然です〉> 
  安倍首相は「戦闘が起きれば、ただちに部隊の責任者の判断で一時中止、あるいは退避する」ことが不可能であることを十分に承知したうえで、とにかくいまは「…退避する」などといった、国民を欺く大嘘を平然と言い立てているということです
  <自衛隊OBの泥憲和さんは『安全な場所で活動なんてきれいごとに過ぎない』『弾が飛んできて逃げたら、格好の標的になるだけ』と語っています」(ジャーナリスト・横田一氏)>
  <戦争法案のインチキ、ペテンは今や、誰の目にも明らかだ>と主張する「日刊ゲンダイ」を安倍首相は公然と自分の“敵”だと名指ししているそうですね。
  「日刊ゲンダイ」だけではありません。それが誰によって発せられたものであれ、自分へのまっとうな批判には反論できずに、それをただただ敵視するしかできない、そんなすこぶる貧弱な頭脳しか持ち合わせていない卑怯者なのです、安倍首相は。
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  安倍首相が自らの大嘘つきぶりを、したり顔で世界に示して恥じることがなかった、芝居がかったあの「アンダー・コントロール」を覚えていますよね。第290回に書いたものから一部を抽出しておきます。
  <オリンピックの開催地を決めるための最終プレゼンテイションで安倍晋三首相は、東京電力福島第一原子力発電所で海に漏れ出ているのではないかとされる放射能汚染水について、こんなことをしゃべったそうです(水島宏明法政大学教授のブログ(【安倍首相が五輪招致でついた「ウソ」】2013年9月8日 http://bylines.news.yahoo.co.jp/mizushimahiroaki/20130908-00027937/ から)>
  <「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」 「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」 「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」>
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  <上の安倍発言に関して東京電力側は異なった見解を示しました(【安倍首相と東電幹部、汚染水制御の認識でズレ 衆院は閉会中審査へ】 日本経済新聞 2013/9/14 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS13035_T10C13A9PP8000/)>
  <東京電力の山下和彦フェローは13日、福島県郡山市で開いた民主党の会合で、福島第1原子力発電所の汚染水漏れについて「コントロールできていない」と説明した。「状況はコントロールされている」と明言していた安倍晋三首相とは異なる現状認識ともいえ、菅義偉官房長官が記者会見で釈明に追われた> <「想定を超えてしまうことが起きていることは事実だ。今の状態はコントロールできていないと考えている」。山下フェローは13日、こう述べた。原子力規制庁の小坂淳彦・地域原子力規制統括管理官も汚染水の貯蔵タンクに関し「管理できるところが管理できていなかった」と語った>
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  「苦言熟考」はこう書いていました。<暮らしの中で人が自然に学ぶ“常識”に従って考えれば、その見解を述べることでより大きな“便益”を得ると思われる側が嘘をついている可能性が大きいのですから、そこに目を向けると……> <つまり、嘘をついたのは安倍首相だ、首相は、恥知らずなことに、全世界に向かって、しゃあしゃあと、大きな嘘をついたのだ、と見るのが正しいはずだ、ということです> <安倍首相は、自分に厳しい現実からは目を逸らせて、自分がこうだと信じることだけに執着して生きることができる、実に独善的な、公正な判断ができない人物なのですね> <明らかな嘘が平気でつける人間なのですね> <その嘘が、自分とその周辺、いや、(安倍氏は日本の首相なのですから)そんなところにはとどまらずに、日本だけではなく世界にどんな悪影響を与えるか、とは考えないでいられる、思考破綻者なのですね> <自分が好まない事実はすべて否定する> <自分の好みや意図に合うことなら、どんな嘘でも全世界に向かってつく> <断言が持つ“潔さ”で真実・事実を覆い隠してしまえる、と信じ込んでいる政治家> <その断言に根拠があるかどうかにはまったく関心がない妄信者> <とんでもない人物を日本人は首相にしているわけです>
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  オリンピックを招致したいと思いついたら、全世界に向かってさえしゃあしゃあと大嘘をつく人間なのですよ、安倍首相は。そんな人物が、いま国会で審議されている「亡国好戦法案」に関してだけは、国民に向かって誠実に真実を語っていると思えますか?
  平然と嘘に嘘を重ねていれば、それがいつかは真実だと思われるようになる…。安倍首相の座右の銘はそう刻まれているに違いありません。
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  ところで−−
  *安倍首相が生来の大嘘つきぶりを発揮して、なんとしても実現したがっていることを「WALL STREET JOURNAL」(Ms. Yuka Hayashi)はすでに2012年12月18日に次のように書いていました。
  <16日の衆院選で圧勝した自民党安倍晋三総裁は今月中に再び首相の座に返り咲く。多くの優先項目のなかでも、安倍氏第二次世界大戦をめぐる論争や遺産を断ち切る――あるいは見直す――という長年の持論を復活させると公約している安倍氏は戦時中にアジア諸国で日本軍が行った残虐行為を軽視する発言をしているほか、戦時中の日本の行為に関する教科書の記載について日教組と戦ってきた。安倍氏の最大の目標は、67年前に制定された憲法を改正し、自衛隊の権限を拡大することだ> <過去10年間の安倍氏の著書や雑誌への寄稿、メディアとのインタビュー、報道された発言などを振り返ってみた。以下にその例をいくつか挙げた>
  *列挙された例は−−
  [中国との領有権問題に関して] [日本軍による従軍慰安婦問題に関して] [第二次世界大戦での日本人の戦犯問題に関して] [日本国憲法前文の平和主義に関して] [戦争放棄をうたう憲法9条の「平和条項」に関して] [核兵器に関して]
  *関心がある方は「http://realtime.wsj.com/japan/2012/12/21/%E5%AE%89%E5%80%8D%E6%99%8B%E4%B8%89%E6%B0%8F%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%A6%B3%EF%BC%9A%E9%81%8E%E5%8E%BB10%E5%B9%B4%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A8%80%E3%82%92%E6%8C%AF%E3%82%8A%E8%BF%94%E3%82%8B/」を読んでください。<すでに削除されています>
  *安倍首相の頭の中には「日々を懸命に生きている、平和・民主・立憲主義を愛する生身の人間」の姿がまったく存在していないことが上の記事からもよく分かりますよ。
  *審議中の「亡国好戦法案」について語る安倍首相の、狂気に駆られてのぼせ上がった頭の中にも、当然のことながら、日本国民のそんな姿はありません。
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