第76回  もう撤退すべきだ…    2008/02/28   閲覧(737)

  2月28日の天声人語朝日新聞)によると、この件に関する各新聞の社説の意見はこうだったそうです。

  XXXXは失敗を認めよ(朝日)
  「XXXX」は幕を閉じる時(日経)
  撤退への道筋を描く時だ(毎日)
  手を引く時(東京)

  朝日の<XXXX>は<ブッシュ大統領>?
  だったら、日経の<XXXX>は<アメリカの対イラク戦争>?
  毎日の<撤退>と東京の<手>という文字を見れば、上の推察は当たっているように思えますね。

  日本の大新聞がこぞって、米ブッシュ政権の対イラク戦争を失敗だったと判断して、米軍のイラクからの撤退を求める…。

  役割はすでに終わったといえないか(産経)

  産経が言うように、アメリカ軍の先制攻撃で始まったイラク戦争ブッシュ政権が打てる手はとうになくなっていて、あの国を再安定化させるためのブッシュ政権の役割もすでに終わっているのかもしれません。

  もう<XXXX>すべき(読売)

  読売もおなじ意見のようです。<XXXX>は<即時撤退>でしょうか?
  天声人語は「各紙の社説がここまでそろうのは珍しい」と書いています。

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  新聞をよく読む人にはもうお分かりでしょう。
  実は、朝日と日経の<XXXX>はそれぞれ<石原知事><石原銀行>となっていました。読売は<店じまい>でした。

  そうです。各新聞は新銀行東京に追加出資しようという石原都知事の考えに反対しているのです。
  26日の読売の社説には<新銀行東京 もはや「撤退」するしかない>というタイトルが付されていました。

  上の見出しはすべて<都が1000億円を出資して設立した新銀行東京が経営難に陥り、都は、400億円を追加出資する議案を都議会に提出した>(読売)ことに対する新聞の意見です。
  新銀行東京は<長引くデフレ不況の下で、金融機関の「貸し渋り」や「貸しはがし」に苦しんでいる中小零細企業を救うために>という目的で石原知事が主導して創設された銀行です。
  その銀行がなぜこんなことになったかについて朝日は<中小零細企業を救う心意気はいいが、開業時には貸し渋りは消えかけていた。それでも存在理由を示すため、甘い審査で貸し付け、焦げつかせた。約1000億円の累積赤字は、プロも用心する小口融資のヤブに素人が分け入った結果だ>と言っています。
  読売は<石原知事は「リスク認識の甘い旧経営陣の事業運営」が原因と発言したが、責任転嫁としか言いようがない>と言い切っています。

  甘い認識で対イラク戦争を始め、イラク人と米兵に無用で多大な害を与えながら自らの責任を否定し、<いま追加出資をしないとイラクは大変なことになる>などと白々しく強弁するブッシュ大統領の態度とよく似ていますね。
  <知事の面目のために公金を重ねてつぎ込めば、失敗は大の字つきで都政史に残りかねない>(天声人語)というのは、自分の判断の誤りを一切認めず、対イラク戦争への追加出資を再三要求してきた<ブッシュ大統領の面目のために…>と読み替えることができます。石原都知事ブッシュ大統領が置かれてる状況とそれへの対応の仕方にはそれぐらい類似性があります。
  いま400億円の追加出資が必要な理由を石原知事は<債務超過で破綻したら多額の資金が必要になる>(読売)と説明しています。しかし、この400億円で新銀行東京がどう再建されるかについて知事は説明できないでいます。
  議会に再三追加予算を求めるもののイラクの明るい近未来像がまったく描けないブッシュ大統領都知事はここでもよく似ています。

  天声人語は「もろもろの成功に彩られた人生の秋に、しくじりを認めるのは勇気がいる。だが〈過ちて改めざる、これを過ちという〉と論語にもある」と言っています。