再掲載:第92回  英文小説の中でいまだに公然と差別されている病気

第92回  英文小説の中でいまだに公然と差別されている病気 | シニアー・エッセイ 「苦言熟考」 (wordpress.com) 投稿日: 2008年8月19日

   【<They were zero, nothing, merely rich and not very bright thieves, and further, the sort of "messengers" Carlos would avoid like lepers.>

   【上の一文は Robert Ludlum という作家が書いた "The Boune Ultimatum" という小説の中にあったものです(Bantam Books  P.68)】
  【比較のためにあえて触れておきますと…。
  【エイズの存在が広く知られ、この時代に最も恐れられる感染病(の一つ)だと思われるようになってからでも、わたしは、自分が読んだ現代小説の中で、たとえば、<XXは△△をエイズ患者のように忌み嫌った>といった表現に出くわしたことは一度もありません。エイズ問題の微妙さを作家や編集者、出版社などが考慮してきたからなんでしょうね。
   【ところが、それがハンセン病になると…。
  【作家たちにはどのような配慮もないようです。オリンピック前の中国政府とおなじように差別感を丸出しにして平気でいるようです。
   【エイズハンセン病を西洋の作家たちが違って受け止めているのは、エイズが極めて現代的な病気であるのに対して、ハンセン病は<聖書が公認した>“罪の病”であるからなのでしょうか?】
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  【そんな教皇が、2013年の演説の中で、バチカンにおける聖職者の過度の出世主義を批判し、「出世主義はleper」という表現を使いました。もちろん教皇差別意識はなかったのでしょうが、私は社会的な影響力の大きい教皇によるこの失言に対して、書簡で抗議しました。しかしその後も、「ご機嫌とりは教皇制度のleper」、「小児性愛カトリック教会に伝染しているleperだ」などの発言が繰り返されました