第119回 “正体”見たり! 

  週刊新潮に“女性問題”を取り上げられた鴻池祥肇(よしただ)官房副長官が13日辞任しました。
  毎日新聞の社説(5月14日)はその“女性問題”について<同誌によれば鴻池氏は4月28日から2泊3日で静岡県熱海市のホテルに女性と宿泊。この間、ゴルフなどをしていた。新幹線での往復は国会議員の公務用に支給されるJRの無料パスを使用したという>と書いています。
  鴻池氏自身もこの記事に内容を事実上認めているということです。

  さてさて、この鴻池官房副長官というのは、ことし一月に<知人(愛人?)の女性を議員宿舎に泊めた(連れ込んだ?)>というスキャンダルが公になったばかりの人物でもあります。
  また、官房副長官というのは<官邸と国会との連絡調整役を担うほか、官房長官を補佐し、時に代役を務める重要ポストだ>(毎日新聞)だそうですね。
  しかも、4月28日というのは<世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ4に引き上げ、政府は対策本部を設置して航空機の機内検疫などに本格的に乗り出した日だ>(同)ったのです。
  …重ね重ねの公私混同に、事実上の“職場・任務放棄”。
  辞任したのは当然だったようです。

  ただ、公式の辞任理由が<健康>とされていたというのはどうでしょう?
  誰も信じないだろうが、首相や政府、自民党に迷惑がかかるから<健康上の問題>ということにしておこう?
  国民ををばかにした態度だと思いませんか?

  ところが…。
  首相の<任命責任>について問われた麻生首相は(内閣支持率が回復しかけてから急に横柄さを目立たせてきていた“ぶらさがり会見”で)<健康まで任命責任なの?>と居直って見せました。
  麻生首相の“正体見たり”という瞬間でした。

  この首相には事の善悪が見えないのです。誠意・誠実という言葉が頭にないのです。だから、政治的是非すら区別がつかないのです。
  傲慢・わがまま・目立ちたがり−−。“世襲”オボッチャマ政治家の悪いところをすべて持っているのが麻生首相だと思えます。
  選挙を目当てにしてどんな表情を作ってみせようと、麻生首相は、国民に真摯な目を向ける政治家像からはもっとも遠いところにいる政治家です。
  麻生氏が自民党の党史に肯定的に名を残すことになるとしたら、それは、皮肉なことに、仮にこの人物で自民党政権が終わったとしても“使える資金源”を次の(民主党?)政権に残さなかった、という“功績”によってでしょう。
  “百年に一度”の経済危機に面食らい、ばらまき経済対策を大慌てで実行して、“埋蔵金”をほとんど使い果たし、巨額の国債を発行して、次の政権の資金源を涸らしてしまう−−。予算編成上の自由を奪ってしまう−−。

  小泉、安倍、福田、麻生。“世襲”だからこそなんとか政治家になることができたこんな人物たちをつづけさまに首相としてきた日本国民は実に不幸です。
  一日も早い政権交代を望みます。

         +

  ええ、たしかに、そうなのですが−−。
  典型的な自民党体質の具現者、小沢一郎氏を三年間も党首としてきた民主党への?
  その小沢氏をかたくなに支持しつづけてきた鳩山幹事長が次の党首に選ばれるかもしれない民主党への?

  民主党は、どうしたら<開かれた政党>になることができるかを党員全体で真剣に考えるべきです。そこから手をつけないと<官僚政治の打破>も<真の議会制民主主義の実現>もできません。

  いやいや、日本国民の政治状況は、当面のところ、思わしいものにはならないようです。