参院選の選挙運動が終盤に入っています。
沖縄の米軍普天間基地の移設について議論するときもそうでした。
消費税率を引き上げるかどうかがこの選挙の大きな論争点になっていますが、ここでもそうです。
普天間基地の沖縄県内への移設に反対する−と言うのは簡単です。消費税引き上げに反対すると言うのも簡単です。
では、普天間基地をどこにもっていけばいいのか?消費税を引き上げずに、例えば、社会保障にかかる費用をどう工面していくのか?
そういう疑問に答えないまま<反対>とだけ主張する政党や政治家、報道機関は無責任極まりない連中だと言えます。
日本全体のことを考えずに、党利党略だけに乗って何かを主張する連中はすべて偽者です。
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それにしても…
日本の政党と政治家たちはなぜにこうも議論がでたらめなのでしょう?
報道機関はなぜに、国民=有権者が聞きたいと思う議論を政党や政治家たちがやっていないことを明らかにしないのでしょう?
政党も政治家たちも、報道機関も、要するに、みなが愚か者だから?みなが国民=有権者を舐めきっているから?
いやいや、そうではなくて、国民=有権者自身が愚か者だから?
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この選挙期間中の自民党の論の張り方を見ていると、この党はもう終わりだという思いを改めて大きくしないわけにはいきません。
自民党は、もう百年間も野党でいたかのように、手垢にまみれた、使い古された手法でしか民主党政権の批判ができません。
谷垣総裁は、ここでも愚かなことに、菅首相の“ぶれ”を攻撃すれば点が稼げると信じているようですが、“ぶれの達人”麻生氏が谷垣氏のすぐ前の総裁だったことを覚えている国民=有権者がそんな“攻撃”で自民党支持者に変身するとは思えません。
民主党の財政政策にケチをつけても、国民=有権者は、日本の財政状態をここまで悪くしたのは、昨年やっと政権を得た民主党ではなくて、数十年間にわたって悪政をつづけてきた自民党だということが分かっています。
昨年の衆院選で自民党が大負けしたのは国民=有権者が<自民党が代表してきたやり方での政治はもういらない>と考えたからです。単純な事実です。自民党はその事実から出直さなければ衰退していくだけでしょう。この選挙でも、報道機関各社が予想しているだけの議席数を獲得することはできないかもしれません。
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一方、前回の選挙で、報道機関は、各党のマニフェストを必要以上に熱心に比較して見せて、その優劣で選挙結果が出るのだという幻想を振りまきましたが、あれは大嘘でした。あの選挙で民主党に投票した者のうちの何パーセントが、例えば、<子ども手当て>に賛成していたでしょう?50パーセント?
多くは、自民党よ、さらば、というために民主党候補に投票したのです。
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鳩山前首相と小沢民主党前幹事長が辞任に追い込まれたのも、カネをめぐる二人の姿勢が自民党議員と変わりない−と思われたからです。二人が辞任してその自民党的体質が薄められたと感じた国民=有権者は、一時的だったにしろ、菅政権に<V字回復>の支持を与えました。
この参院選でも有権者の心理状態はほとんど変わっていないはずです(前の衆院選での自党のマニフェストにいまだにこだわりつづける小沢前民主党幹事長はここでも大間違いをしています)。
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なのに、自民党は、自分が政権を握っていたころに野党陣営が採用した反対戦術以上のものを持っていません。何も見えていません。
建設的な政策で民主党政権を揺さぶる力が自民党にはありません。論理的に思考する能力がありません。
残念なことに、極端なことを短い言葉で叫んで点を稼いでいる<みんなの党>を除けば、ほかの野党も、多かれ少なかれ、似たようなものです。正しい議論ができません。不幸なことです。
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選挙期間はまだ数日間残っています。政党や政治家たち、報道機関には、前に進む、建設的な議論をしてもらいたものです。ただ否定するためだけの醜い、低級な議論はもういりません。
低級な論戦を何十年間つづけても政治は良くなりません。いい指導者は育ちません。日本はまともになりません。
一刻を争います。日本の政党と政治家たち、報道機関は、物事を組み立て何かを築き上げるための論議ができるようにならなければなりません。そのための論争ができるようにならなければなりません。
この選挙を“膨大な無駄”にしないためにも、どの政党でもかまいません、だれかに、日本の将来が肯定的に見えてくるまともな議論を始めてもらいたいものです。
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7月7日の読売新聞に次の記事がありました。
<<小沢氏の公約修正批判、共感広がらず…読売調査>>
<読売新聞社が実施している「参院選ネットモニター」の第5回調査結果が6日、まとまった。民主党の小沢一郎前幹事長が、子ども手当の満額支給など昨年の衆院選政権公約を修正した党執行部を批判していることに、回答者全体の75%、民主党支持層でも68%が「評価しない」と答えた>