〜第72回〜 「フィリピン・インサイド・ニュース」 閲覧(312) 2008/01/23

  カリフォルニアからフィリピンに移住してから15か月が過ぎました。
  「どう?もう慣れた?」
  月に一度ぐらいの割合で電話をかけてきてくれるロサンジェルス在住の(日本人の)友人はまだ、そう尋ねてくれます。この友人にとって、ロサンジェルスでの暮らしの中で想像するフィリピンはやはりずいぶん異なった文化の国なのでしょうね。

  そのフィリピンに関心がある人たちにお奨めしたいサイトがあります。
   Inside News of the Philippines" 「フィリピン・インサイド・ニュース」 です。
  <一人でも多くの日本人にフィリピンを正しく理解していただき、その上で日比友好に少しでも貢献できることを目的>として2001年12月に開設されたそうです。
  このサイトの特長は<フィリピン国内の多種にわたるニュースを、短く要約され形で(祝祭日は除いて)月曜日から金曜日まで、毎日、日本語で読むことができる>という点にあります。
  発信が遅れて一日または数日遅れになることも稀にありますが、ニュースは通常(日本時間の)9時ごろまでにはサイトに掲載されます。

  <Inquirer><Manila Bulettin><star><Manila Times>などといった地元新聞がニュース源となっています。
  編集者または翻訳者はたぶん、お昼前後から新聞を読み始め、日本人読者にも関心・興味があるはずだと思えるニュースを探し出して、おもむろに翻訳を始める‐‐というような日々を過ごされているのではないかと想像しています。

  内容としては、汚職や政争を含めた政治記事が最も多いようです。強盗や詐欺などの事件に関するニュースも少なくはありません。
  日本人が何かの事件に巻き込まれたというニュースは、朝日や読売などよりも先に読めることがあります。

  最近掲載されたニュースをいくつか紹介しますと‐‐

  * フィリピンでは昨年度、上位10%の富裕層が総世帯収入の3分の1以上を占めていたそうです。
  また、<貯蓄のある世帯は極めて少なく、4人家族の平均日収はおよそ500ペソだった>そうです。500ペソというのは現在の為替レイトでおよそ1300円です。
  平均年収では約17万3,000ペソ=約46万円ということになります。
  これについてプノ最高裁長官は「国の富は常に少数のどん欲な金持ち一族に支配され大多数の比人は貧しい。この問題の根本的原因は周知のことで、それは最初から国の富を常に支配してきた少数の一族の限りないどん欲さだ」と述べています。
    
  わたしが初めてフィリピンを訪れた1984年からその状況は少しも変わっていない‐‐ということのようです。

  * 海外で働いているフィリピン人が本国に送金する外貨の額は一月当たりどれぐらいだと思いますか。
  昨年11月は(7カ月連続の10億ドル超えとなる)12億ドルで、1−11月では131億ドルとなったそうです。
  主な送金元は、米国、英国、イタリア、アラブ首長国連邦サウジアラビア、カナダ、シンガポール、日本、香港など。
  国内工業が発展していないフィリピンでは労働力が最大の“輸出品”=外貨獲得商品となっているのです。

  * フィリピンでは昨年第4四半期、自らを貧困と考えている世帯が前期の900万世帯からおよそ810万世帯に減少したそうです。前回9月調査の52%から46%に低下した‐‐ということです。
  貧困ではないと感じるのに必要な最低月収については、ミンダナオでは今回、99年12月調査時の1万ペソから8,000ペソに減っており、マニラ首都圏でも、一時は1万5,000ペソに上がっていた額が、今回は1万ペソ(約2万7000円)に、ビサヤでも1万ペソから5,000ペソに下がっていたそうです。
  その間に物価がいくらか下がったのか、“普通の”暮らしに関する人びとの期待度や基準が下がったのか‐‐。

  上の三つのニュースからフィリピン人の暮らしぶりの一端が見えてきませんか?
  フィリピンに関心がある人は、ぜひときどき訪ねてみてください。