<どうやら、原文を見ないでも誤訳を正すことができたようですね。
<いえ、わたしはもちろん原文を読んでいるのですよ。でも、今回示したかったのは、悪い翻訳文は、このように、原文を読まなくても、どこが間違っているかの見当がつくことがあるということです。
<ここでは「精度はあまり高くなさそうだ」がそうでした。
<英語の方を見てみましょう。
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“(略)In fact, it was Nassir’s eyeballing the place that
found it. Very clever, latest stuff. The recorder itself was outside
in a janitor’s closet with a squirt transmitter tuned close to WNEW .
Hard wired with conducting paint to some pinpoint mikes in
the corridor wall and the partitions. The fidelity can’t have
been too good.”
“All they need is a few words here and there,” Kassia
said. “We're not playing Mozart.”
“There’s no point blaming anybody,” Ryan said. “Let’s
figure out what it means.”
<日本語の文章だけを読んで見つけていた翻訳の間違いが原文を読んで確認されたようです。
<訳者は<cannot … too>(という典型的な受験英語)が正しく訳せなかったのですね。
<本の翻訳を出版社が頼むとき、翻訳者にはどれぐらいの時間を与えるのでしょう?
<「合理的な疑い」(の誤訳の多さ)をみる限りでは、それはたぶん<驚くほど短い>ものと思えます。ですが、それは単行本にするときのことでしょう?
<その単行本を文庫本にするときは?
<単行本の間違いはまったく訂正しないようですね。誤訳を正す絶好の機会だと思えるのですが…。
<読者を甘くみているのでしょうね、出版社も翻訳者も>