第311回  “違憲状態”を悪用しつづける“違憲”安倍政権

  朝日新聞は2013年11月20日に【12年衆院選違憲状態 最高裁判決、一票の格差訴訟】という見出しをつけた記事を掲載しました。(http://www.asahi.com/articles/TKY201311200295.html?ref=com_top6
  <【田村剛】「一票の格差」が最大2・43倍だった昨年12月の衆院選をめぐり、二つの弁護士グループが「選挙区によって投票価値が異なるのは憲法違反だ」と選挙無効を求めた計16件の訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允〈ひろのぶ〉長官)は20日、「違憲状態」との統一判断を示した。選挙無効の請求は退けた><高裁段階から大きく後退したことで、国会の格差是正の動きが停滞する可能性がある
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  上の判決を受けて「苦言熟考」はこう書いていました。
  【第295回 特定秘密保護法 “違憲状態”のくせに?】2013-11-20 (http://d.hatena.ne.jp/kugen/20131120/1384942421
  <何事によらず、常に“筋”を通すべきだという頭の持ち主には以前から明らかなことでしたが、きょう、20日の最高裁判所の判決で、事はいっそうすっきりしました><国民の日常生活にただちに、著しく影響を及ぼす事例に関するもの以外の法案の審議を国会(衆議院)は即刻、中止するべきです><中止して、国会の「違憲状態」を正す作業にはいるべきです>
  <いいですか、国会は衆参両院ともにすでに「違憲状態」にあるのですよ><そんな「違憲状態」にある国会には、重要法案を審議し、その法律を成立させる資格はありません><まして、日本を中国や北朝鮮なみの非民主主義的な、官僚と検察・警察がおおいばりする、寒々とした国にしてしまおうという「特定秘密保護法」を!><国民の自由を奪うことを主目的とした「憲法改変」がそうであるように!>
  <自民党公明党(それに権力に近づきたいだけでその両党に擦り寄る日本維新の会みんなの党)による政治の“私物化”を国民は許してはなりません><国民は国会に20日の最高裁違憲状態」判決を完全無視させてなりません。三権分立の理念をもうこれ以上、国会に踏みにじらせてはなりません><日本国憲法の土台をこれ以上、国会に崩されてはなりません><「違憲状態」にある国会にこれ以上、無法・不法活動をさせてはなりません>
  なのに、上の記事で朝日新聞が予測したように「国会の格差是正の動き」は際限なく「停滞」しています。
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  「苦言熟考」は、安倍晋三自民党政権が進めている「憲法解釈を変更して、事実上、憲法改変の実を上げる」という卑怯極まりない政策についても、当然のことながら、そんなあからさまな違憲・脱法行為を許してはならない、と考えています。
  違憲状態にあると最高裁判所が判定した国会が選出した首相とその政権は、言うまでもなく、違憲(状態)首相・違憲(状態)政権なのです。
  「憲法解釈を変更して、事実上、憲法改変の実を上げる」という、それ自体が立憲主義を真っ向から否定する違憲政策を、違憲(状態)首相とその政権が強引に推進している、というのがいまの日本の実情です。
  無法国家。
  最高裁自身の(権力の顔色を窺うという)日和見因習が招いている事態ででもあるわけですが、国会と安倍政権は「選挙無効の請求は退けた」最高裁を軽視しきっています。三権分立という民主主義の基本理念を完全に無視しています。……特に安倍政権は、無視して、独断専権の道を突っ走っています。
  司法の“自殺行為”にも似た日和見、過度の自己抑制を最高裁はもう捨てるべきです。国民は最高裁を、言葉の真の意味で、日本と日本人を法的に守る機関にしなければなりません。
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  五十嵐仁という人が、上の最高裁判決の翌日、2013年11月21日に【「違憲状態」の国会による「違憲立法」は許されない】と題するブログを書いていました。(http://blogos.com/article/74148/
  <憲法に違反する状態にある国会が、憲法に違反する内容の新しい法律を制定しようとしている。これは、二重の意味で憲法違反であると言うべきでしょう><その「違憲状態」の国会が特定秘密保護法を制定し、憲法で保障された「国民の知る権利」を奪う「違憲立法」を行おうとしています>
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  違憲(状態)安倍政権による「違憲立法」と「違憲解釈変更」を許してはなりません。
  違憲(状態)首相が日本国を代表して外交を手がけることさえ、事を厳密に考えれば、正当だとは言えません。違憲(状態)首相である安倍氏が外交の最高責任者でありえるのは、外交を空白化しないための緊急避難としてであるにすぎません。
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  一方、参議院については……。
  【参院選制度改革 「合区」案は受け入れられるか】 読売新聞社説 2014年04月26日 (http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20140425-OYT1T50178.html
  <参院選の「1票の格差」を是正し、「違憲状態」を解消する目的は理解できる。ただ、人口減に悩む地方の声が国政に十分反映されるかどうか><参院選挙制度協議会座長の脇雅史参院自民党幹事長が、参院選改革の座長案を示した。議員1人当たりの人口が少ない選挙区を隣接区と統合する「合区」を導入するインパクトのある案である><「鳥取・島根」「徳島・高知」「大阪・和歌山」など11の合区を作る一方、東京、神奈川など6選挙区の改選定数は1ずつ増やす。東京は「6人区」となり、「1人区」は17選挙区に抑えられる><1票の格差は、昨年の参院選の最大4・77倍から1・83倍へ一気に縮小されるという><1票の格差是正が最優先の課題なのか。衆院参院の役割・機能分担はどうあるべきか。こうした本質的な議論も欠かせまい>
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  事を動かしていく際の、全体としての日本人の最大の欠点は、その「本質的な議論」ができない、ということではないかと、随分前から、感じています。筋を通して考えることができない、と言い換えてもいいでしょう。
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  〔参考〕 朝日新聞社説【護憲後援拒否―霞を払い議論をひらけ】5月1日 (http://www.asahi.com/paper/editorial2.html
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  実に不幸なことに、「本質的な議論」ができない=筋を通して考えることができない典型的な人物を日本人は首相の地位に据えています。
  安倍首相は、自分の偏狭な思想にすがりつくことでしか世界を見ることができない独善的な人物です。自分の思想が世界と日本の実情のどこに位置づけられるかが理解できない、危険極まりない“視野狭窄”者です。
  そんな安倍首相とその政権に国民は騙されてはなりません。
  日本を悪い方へと限りなく傾かせつづけている安倍首相とその政権にいますぐにも箍(たが)をはめなければなりません。
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  違憲状態の国会が選出している違憲状態首相とその政権に「解釈変更による事実上の憲法改変」を許してはなりません。
  財政的に衰弱してきたアメリカが、自国の財政負担を軽減しようというだけのために日本に求め始めている「集団的自衛権」の行使容認、拡大解釈を許してはなりません。
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  【9条改憲、反対62%に増 解釈改憲も半数反対】 東京新聞 2014年4月30日 (http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014043002000124.html
  <来月三日の憲法記念日を前に本紙は二十五〜二十七日、全国の有権者約千五百人を対象に世論調査を実施した。戦争放棄や戦力を保持しないと定めた憲法九条について「変えない方がよい」が62%で、「変える方がよい」の24%を大きく上回った。集団的自衛権の行使容認に向け安倍晋三首相が意欲を示す九条の解釈改憲でも「反対」が半数の50%を占め、慎重な対応を求める民意が浮き彫りになった。「賛成」は34%にとどまった>
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