憲法・立憲主義が分かっていない人物が日本国首相!

 今回も再掲載 : 【第304回 「われ」しかない“最高責任者”】2014-02-21http://d.hatena.ne.jp/kugen/20140221/1392933470
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  「苦言熟考」の第299回【安倍首相の“お友達”はやはりこんなふう】(http://d.hatena.ne.jp/kugen/20140101/1388524760)の締めくくりにわたしはこう書いています。
  <あの唐突な“靖国参拝”で改めて明らかになりました。安倍首相というのは“他国に攻め込ませないように外交の場で最大限の努力をすること=国益を守ること=よりは偏狭な私情を満足させることの方を重視する”亡国政治家です。そんなまがい物の“愛国者”たちに日本を滅ぼさせてはなりません><外交を“放棄”して、やたらと武器を持ちたがる、それをひけらかしたがる…。安倍自民党と中国・北朝鮮とは、たがいに、どんどん似通ってきています>
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  その「ひけらかし」の手段の一つとして安倍首相がなんとしても達成しようとしているのが「集団的自衛権に関する憲法解釈の変更」です。その“解釈変更”のあとで「やたらと武器を持ち」近隣諸国に向けて「それをひけらかし」たい、と安倍首相は夢見ているのです。
  首相が敬愛してやまないという祖父・岸信介氏(A級戦犯容疑者)らが、その無責任と無能のせいで滅ぼした“大日本帝国”の栄光をその「ひけらかし」の形で取り戻したい、と安倍首相は願っているのです。…それが安倍首相の政治判断の基になっている“私情”だとわたしは思っています。
  そのことを裏づける首相自身の発言は数限りなくありますが、最近のこととしては、たとえば、安倍首相は先日の国会答弁で次のように語っています。
 「(憲法解釈の)最高の責任者は私だ。政府答弁に私が責任をもって、そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは、内閣法制局長官ではない。私だ」(東京新聞
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  どうです?国にどんな憲法があろうと、最高責任者として俺にはどんな解釈でもできる!
  憲法とは何か、立憲主義とはどんなものであるかについて完全に無知である自分を恥じることもなく、平然とそう言い切っているのですよ、安倍首相は!
  明治憲法の下で“統帥権”を楯にして軍国主義へと突っ走った軍部でさえここまで明白には言い切らなかったのでは?
  こちらはどうです?「(憲法は)国家権力を縛るものだという考え方があるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的考え方」
  安倍首相のこの主張は世界中の良識ある人びとに嘲笑されているいるはずです。
  だって、そもそも、では、現代の民主主義社会に、いまでも、憲法が存在するのはなぜ?
  絶対王権がなくなったいまでも、民主国家が憲法を定めているのはなぜ?
  「国家権力を縛る」憲法を制定しておかないと、国家というものは、たとえそれが民主主義を標榜していようと、国家である限りは、「権力から遠い者=民衆を縛る」方へ政治を傾けかねない、ということを人類が学んできたからでしょう?
  戦地に派遣した300万人以上ともいわれる日本人のほとんどを無残にも“餓死”“傷病死”“玉砕死”させたあの“大日本帝国”の“栄光”を取り戻したい一心で「民衆を縛る」方へと政治の舵取りをつづけている安倍首相と首相の周辺だけがその危険から意図的に目を背けているのです。
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  しかし、そんな安倍首相の無知と厚顔がすんなりと通るわけはありません。
  【首相の憲法解釈変更発言 自民内からも批判 「三権分立崩す」】東京新聞 2014年2月14日 朝刊
  <出席者によると(注:13日に行われた自民党)総務会では、まず村上誠一郎元行革担当相が「首相の発言は、選挙で勝てば憲法を拡大解釈できると理解できる。そのときどきの政権が解釈を変更できることになるのは問題がある」と批判。その上で「慎重の上にも慎重を期すべきだ」と主張した。村上氏の発言は、政府が意のままに憲法解釈を変えれば、国会が国権の最高機関としての立場から政府をチェックする三権分立の仕組みが崩れると指摘したもの>
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  たとえこの批判の真意が「解釈変更によるものではなく、国会審議を経て、憲法自体を改変するべきだ」というものであるにしても、ここに述べられている限りでは、村上氏の論には筋が通っています。
  合法的にその任に就いているとはいえ、一国の首相がその国の憲法を自分が好むように解釈して運用するというのでは、その国はもう民主主義・立憲主義の国ではありません。「最高責任者」が意のままにすべてを取り仕切る中国共産党北朝鮮労働党並みの“独裁国家”だといえます。
  つまり、安倍首相がなりたがっているのは、ほかでもない、“日本の習近平”あるいは“日本の金正恩”だということなのですね。
  安倍首相といまの自民党ががむしゃらに自らのものにしたがっているのは中国や北朝鮮並みの“独裁政治”なのです。安倍首相の一連の発言からは、そうとしか考えられません。
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  「そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける」と言っているではないかですって?
  「そのうえで」というのは、このわがままな、周囲に甘やかされて我を通しながら生きてきたらしい“オボッチャマ政治家”が得意にしている台詞あるいは言い訳です。…まずは俺が好きなようにやるんだ!
  国会で圧倒的な多数を占めているという事実を最大限に利用して何でも先にやってしまい、やったことの是非については後の選挙で国民に問う−−。やろうとしていることの是非はけっして問おうとしない−−。
  安倍首相の暴走が、次の国政選挙までにかなりの年月があるので、そのときまでに国民の反対や批判は消えているに違いない、という計算があってのことであることも疑いありません。
  つまり、このわがままな“オボッチャマ政治家”は、一方では、実に狡猾でもあるわけですね。
  その狡猾さを十二分に発揮させるためになのでしょうね、安倍晋三という人物の頭の中には「前もって」という語はありません。
  政治の世界でだけではなく、保守的な日本社会で広く長く用いられてきた「根回し」という手法さえもこの人物は(少数の“身内・取り巻き”を相手とする場合以外は)不用なものにしてしまいました。事前に「合意する」「同意してもらう」などといった語も葬ってしまいました。
  聞く耳持たぬ!おれの好きにやる、不平があるのなら後でそう言え!
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  数や力を背景に自分の意思や望みを押し通すという安倍首相の手法=手口は、ほとんど、独裁政治家あるいは暴力団のものです。
  そんなことに気がつかない(ふりをする)危険人物を日本は首相にしています。
  先の国政選挙で大勝したことで安倍首相は、明らかに、「われ」を見失っています。
  いやいや、そうではなくて、安倍首相は初めから「われ」しかない、自分の「外」が見えない人物なのですよね。
  視野が異常に限られた、そんな人物を日本人は首相にしてしまっています。その結果として、国の進路を誤ろうとしています。
  何度でも言います。「そのことに国民がいつまでも気づかなければ……」
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  【野中氏「危険で偏った政治」 安倍政権を批判】東京新聞 2014年2月19日(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2014021901002623.html
  <野中広務官房長官は19日、参院統治機構調査会に参考人として出席し、安倍晋三首相の政権運営を「議会制民主主義が相当に危険な状態だ」と批判した。集団的自衛権の行使容認を検討する政権の有識者懇談会について「偏ったブレーンを集めている」と指摘した><首相が集団的自衛権の行使容認をめぐる憲法解釈に関し「私が責任を持っている」と国会で答弁したことに対しては「非常に誤った道を歩みつつある。内閣は自分たちの行動に高揚している」と非難した><安倍政権には与党や国会の議論を軽視する傾向があるとして「最後には内閣と与党に大きな亀裂を呼ぶ不安を持っている」と述べた>
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  日本の大新聞が報じていないようなので、この記事も…。
  【米紙「安倍首相の右傾化で米日関係に亀裂」】朝鮮日報 2014/02/19 (http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/19/2014021901051.html
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