第346回 安倍首相の恥知らずな「朝貢」外交

  いやいや、平成の27年になってこんな言葉を思い出すことになろうとは!
  「朝貢」です。
  【朝貢】外国の使者が来朝して、貢物(ミツギモノ)を奉ること (新潮国語辞典 現代語・古語)
  【朝貢朝貢(ちょうこう)は、主に前近代の中国を中心とした貿易の形態。 中国の皇帝に対して周辺国の君主が貢物を捧げ、これに対して皇帝側が恩賜を与えるという形式を持って成立する。 なお、周辺国が貢物を捧げることを進貢(しんこう)、皇帝がその貢物を受け入れることを入貢(にゅうこう)という。 朝貢それ自体には政治的な臣属という意味はなく、その点で冊封とは区別される (ja.wikipedia.org/wiki/朝貢
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  今回は、しばしばその記事を引用する新聞「読売」「朝日」「毎日」「東京」以外から、すぐに目についたところをちょっと拾ってみました。
  【オスプレイ3600億円は序章…安倍首相「隷属演説」の高い代償】  2015年5月9日 日刊ゲンダイ (http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159607
  <安倍首相が米連邦議会で行った「隷属演説」の“代償”は極めて高くつきそうだ> <米国防安全保障協力局(DSCA)が5日、垂直離着陸輸送機V22オスプレイ17機と関連装備を推計30億ドル(約3600億円)で日本に売却する方針を米議会に通知した>
  【これも訪米歓待の代償…「米軍再編関係費」1.6倍になっていた 】 2015年5月10日 日刊ゲンダイ (http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159649
  <安倍首相が米国で歓待された裏で、日本は法外な値段で米国からオスプレイを導入した。まさしく、安倍議会演説の代償は血税だったわけだが、怪しい話は他にもある。日本政府が米軍の駐留経費として負担する「在日米軍関係経費」だ> <2014年度は4667億円だったが、今年度は5197億円に増加した。このうち目を引くのが「米軍再編関係費」だ。昨年の890億円から1426億円に増えた。実に60%増である>
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  【「戦後レジーム脱却」の欺瞞 対米従属深化さす売国政治】(首相訪米巡る記者座談会) 長周新聞 2015年5月8 (http://www.h5.dion.ne.jp/~chosyu/sengorejiumudaltukyakunogiman.html
  <安倍首相が訪米して日米首脳会談が開かれ、TPP(環太平洋経済連携協定)推進集団的自衛権の行使などアメリカが突きつけてきた要求をみな丸呑みして約束を交わし、晩餐会でもてなされたり米上下両院合同会議で演説する機会を与えられたりと、異例の大歓迎を受けて帰ってきた
  <C 2プラス2では日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定に合意した。昨年に安倍政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したのを受けたもので、米軍の指揮下で自衛隊を戦地に駆り出すことを最大の眼目にしている。「周辺事態」などの文言をとり除いて、日本が直接攻撃を受けていなくても米軍と共同作戦に乗り出すことや、その活動範囲は極東にとどまらず地球規模に広げるというものだ。中東海域における機雷掃海や米軍を狙った弾道ミサイルの迎撃、米艦の保護、不審船の臨検、弾薬の提供、戦闘機への給油なども具体的に想定されている。米軍だけでなく、直接日本の安全とは関係のない事案であっても、多国籍軍への後方支援を可能にするとしている> <2プラス2では他に、日米双方が米軍普天間基地について「辺野古への移設が唯一の解決策」と確認した>
  <C アメリカの身代わりの戦争をやる。だからアメリカが大喜びしている。今から肉弾になるのだから、晩餐会でも議会演説でも安い話だ。本音では「このバカが」と思って見ている。ところが得意になってへたくそな英語スピーチをやるのが安倍晋三で、米議会もスタンディングオベーションして調子付かせた。完全にバカにされている>
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  【朝貢】<中国の皇帝に対して周辺国の君主が貢物を捧げ、これに対して皇帝側が恩賜を与えるという形式を持って成立する
  「周辺国の君主=安倍晋三首相」は「皇帝=アメリカ側」からずいぶんな「恩賜」を与えられたようですね。
  とりあえずは、下に挙げたような日本からの「貢物」への返礼として。
  *「米軍再編関係費」1.6倍になっていた
  *垂直離着陸輸送機V22オスプレイ17機と関連装備を推計30億ドル(約3600億円)で日本に売却する
  ・米軍の指揮下で自衛隊を戦地に駆り出す
  ・日本が直接攻撃を受けていなくても米軍と共同作戦に乗り出す
  ・その活動範囲は極東にとどまらず地球規模に広げる
  ・中東海域における機雷掃海や米軍を狙った弾道ミサイルの迎撃、米艦の保護、不審船の臨検、弾薬の提供、戦闘機への給油なども具体的に想定されている。米軍だけでなく、直接日本の安全とは関係のない事案であっても、多国籍軍への後方支援を可能にする
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  【朝貢】外国の使者が来朝して、貢物(ミツギモノ)を奉ること 
  しかも、安倍首相は「使者」を送るのではなくて、自らが嬉々としてアメリカに乗り込んで、これだけの「貢物」を献上すると(筋違いの自己満足に浸りながら)宣言しました。
  戦後”日本に70年間も平和を保障してきた平和主義・立憲主義国民主権主権在民)などといった国是を辱め尽し、日本を“大日本帝国化”するためだけに、安倍首相はアメリカに、少なくとも、これだけのものを貢ぐことにしたのです。
  つまり、安倍首相は自らの“戦争ごっこ”願望を現実のものにするために、国民(まずは自衛隊員)の生命をも平然とアメリカに捧げようとしているのです。
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  日本の選挙制度の歪みのせいで、単純過半数にもはるかに届かない得票数で得た、圧倒的な国会議席数を最大限に悪用して、居丈高な「聞く耳持たず」の姿勢であらゆる反対意見を圧殺し、国民を無視した政治を展開するというのが安倍首相なのです。
  「わたしが最高責任者です」でしたっけ?
  <「政府の最高責任者は私だ。選挙で審判を受けるのは私だ」と言い放ったのである。選挙で洗礼を受けるのだから「何をやってもいい」という居直りで、憲法によって権力者の行動を制約する立憲主義を完全否定するものだ> 【安倍首相の「私が最高責任者だ」大放言に党内からも非難の声】(http://gendai.net/articles/view/news/147967
2014年2月14日 日刊ゲンダイ
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  「貧すれば鈍する」二か国間の「朝貢外交」
  安倍政権による、周辺諸国に向けた真摯な外交努力を、見たという記憶がありますか?
  安倍首相とその仲間連中を放っておくと、“戦争ごっこ”に興じたい“戦争知らず”の愚か者政治家たちにやがて、日本国民は、まずは自衛隊員から、無駄・無益に殺されることになります。
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  何を根拠にそう言い切る?
  300万人もの日本兵を、武器・弾薬を補填しないままで“玉砕”死させただけではなく、食料・医薬品を届けず餓死・傷病死させた日本軍の無責任将官・佐官=軍事官僚たちを“自国民を惨殺した罪”で自ら裁いていない、裁こうとしない、だけではなく、彼らを指揮して、国民をそんな目に合わせた戦争指導者たちを“英霊”としていまも崇めつづける連中の頭目なのですよ、安倍首相は。
  そんな連中が日本国民の生命を“自らの生命を懸けて”でも守ると思いますか?
  “大日本帝国”の戦争官僚がやった無責任な“戦争ごっこ”をまねようとしているだけなのです、安倍首相とその仲間は。まねて再び国民を死なせても、日本軍の大半の軍事高級官僚と政治家たちがそうであったように、自分たちの責任が問われることはないと高をくくっているのです、安倍首相を頭目とする戦争愛好者たちは。
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  真に日本を愛する国民は、安倍首相をはじめとする“似非愛国者”たちの盲動。暴挙を許してはなりません。
  「朝貢」外交に自己満足している“似非愛国者”たちの欺瞞を許してはなりません。
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  ここも直視してください。安倍政権の姿勢に真剣に異議を唱える者が自民党の中には、事実上だれもいない、という現実を。その異常さを。
  自民党が患っている“集団のぼせ”を。
  “戦争ごっこ”に興じようという“集団ヒステリー”を。
  対中国・対米戦争に無謀に突入していった頃の日本もそんな“集団のぼせ”“集団ヒステリー”に捉えられていたはずです。
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  参考記事【特集ワイド:新安保法制、元防衛官僚が指摘 「戦死者必ず出る」】毎日新聞 2015年03月25日(http://mainichi.jp/shimen/news/20150325dde012010015000c.html
  <安保法制の改定> <主なポイントは七つ。(1)集団的自衛権を行使し、米軍防護や重要航路の機雷除去(2)日本防衛につながる活動をする他国軍の防衛(グレーゾーン事態)(3)恒久法を制定し、国連決議などに基づき国際紛争に対処する他国軍の後方支援(4)「日本周辺」という地理的制約を外し、重要事態の際は世界中で他国軍を支援(5)国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」やPKO以外の有志国活動での治安維持任務など(6)武器使用権限の拡大(7)人質になった邦人を自衛隊が武器を使って救出−−を可能にする、という>
  <「いや違う。安保法制で語られていることこそが荒唐無稽なんです」。真っ向から反論するのは柳沢協二さんだ。旧防衛庁官房長で、2004〜09年には内閣官房副長官補として第1次政権時の安倍首相を支えた人だ> <どういうことか。自公の合意文書には、すべての法制の大前提として「自衛隊員の安全確保のための必要な措置」が明記されている。ところが「法改正で、隊員に与えられる任務の危険性は格段に高くなる。間違いなく戦死者が出ますよ。矛盾も極まれりで、これが荒唐無稽でなくて何でしょうか」(柳沢さん)>
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