小沢一郎氏が(あえて“やっと”と言ってもいいのですが、とにかく)民主党を離党しました。
決断力に欠けた、臆病者の、手前味噌の誇大妄想を喧伝することでなんとか自分の地位を政界に保ってきたこの旧時代の政治家が、離党によって(とりあえずは、自民党からも公明党からも相手にされず、大阪維新の会などからも冷たくあしらわれるというふうに)政界の本流から遠ざけらることになったのです。長年にわたって“壊し屋”と呼ばれてきた、つまりは、政局のかき回しでしか自分の存在を誇示することができなかった小沢氏が、その“実力”の実態にふさわしく、侘しい終末を迎えようとしているのです。…多くが一年生議員であるわずか50人足らずの支持者に囲まれての離党という形で。
小沢氏に長年にわたって醜悪な駆け引き政治を見せられてきた国民には、まずは、大きな朗報だといえます。
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「苦言熟考」は2007年にすでに「第66回 小沢代表のカンチガイ」(http://d.hatena.ne.jp/kugen/20090511/1242045718)(2007/11/24)というエッセイを書いています。当時は民主党代表だった小沢氏が、党内のだれにも諮らずに、単独で、政権政党だった自民党との“大連立”を企図したことを批判したものでした。
<民主党は「政権獲得を目指す」と公言していましたよね><自民党・公明党から政権を奪う>と叫んでいましたよね><民主党支持者の目には小沢氏はもう「実行力のある指導者」ではありません><「自分の野心実現のためなら支持者さえ裏切るマキアヴェリスト=権謀術数主義者」と写っています><「小沢氏は自民党員だったころの自分に戻った」と多くの有権者が感じています>
後に“小鳩”と呼ばれる“盟友”同士になる鳩山幹事長ですら小沢代表の大連立案について<小沢氏の主張は党全体の考え方とは明確に異なる>と強調していました。
そのエッセイの結語はこうでした。<民主党は、政権を担当する政党になれるかどうかの“正念場”を迎えています。小沢氏にこれ以上かき回されてはなりません>
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追加【「小沢氏がこれほどひどいとは」民主党“大反省会”】(テレビ朝日系(ANN)2013年 5月12日(日)8時10分配信)
<民主党は、30歳以下を対象に「公開大反省会」と題した集会を開きました。菅元総理大臣は、離党した小沢一郎元幹事長について「これほどひどいとは思わなかった」と批判しました><民主党・菅元総理大臣:「(小沢氏は)自分の政治的影響力が一番大きくなるには何を言えばいいかと、それがすべての判断基準になっている。(政権交代前から)傾向は分かっていたけど、これほどひどいとは思わなかった」>
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2010年3月に「生方副幹事長の解任事件」が起きたときには「苦言熟考」はこう書いています(「第152回 小沢色を払拭しなければ…」http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100323/1269338788 2010-03-23)。
<小沢幹事長は当代には稀な、すこぶる“優秀”な政治家であるかもしれません。本当の意味での政権交代が可能な国に日本を導いたという点でも、この人を軽んじることはできません。しかし、この人が“優秀”であるのは、あくまでも、旧時代の政治手法において、という限定がついてのことだと思えます><政治家小沢一郎が自らの“実力”を堪能する時代はもう終わっています><民主党は“小沢氏的な体質”を払拭することができるでしょうか?><それも、ただちに?>
この「解任事件」というのは<17日付産経新聞のインタビューで、生方氏が党運営を中央集権的と批判し、「鳩山さんは小沢さんを呼んできちんと注意してほしい」などと求めたこと>で起こりました。生方氏は<党運営については、「小沢一郎幹事長にすべての権限と財源が集中し、議員一人一人の力が発揮されなくなった」「このままでは支持率が落ちて、参院選で戦えなくなる。今、声を上げて党を改革しなければならないと」>考えていたわけです。
党内外からの反対意見を受けて、解任方針は撤回されましたが、この事件は小沢幹事長と鳩山代表(いずれも当時)が党内民主主義というものにいかに無頓着であったかをよく示していました。<この二人は、民主党が、党内に向けても国民に向けても、まだ「開かれた党」ではないことをすっかり明かしてしま>ったのです。
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民主党の今日の凋落の最大の原因は(米軍普天間基地の移設をめぐる鳩山由紀夫氏のでたらめ発言や小沢氏が抱えていた“カネの問題”など以上に)前回の衆議院議員選挙で同党が掲げたマニフェストにあるはずです。いえ、そのマニフェストがほとんど実現できなかったことに、ではなくて、もともと資金の裏づけがなかった“国民の生活が第一”というマニフェストを高だかと掲げたことに、です。
「国庫を探れば16兆円はすぐに出てくる!」と(当てもないことを言って)国民=有権者を欺いたのは、ほかでもない、あのころに民主党を導いていた小沢氏と鳩山氏でした。なのに、その二人、特に小沢氏が、いまになっても「マニフェストの原点に戻れ」ですって?
どこにそんなカネがあるというのです?小沢氏と鳩山氏は、そもそも、その16兆円を取り出すためのどんな努力をしました?何もしなかったではありませんか。
二人には、いまでも、あの大虚言について国民に詫び、責任を取るつもりがありません。それどころか、二人は醜悪に居直りつづけているのです。
無責任で嘘つきで、建設的なことが何一つできないこの二人には、政界に身を置いておく場所も理由ももうありません。いえ、ただ“ない”だけではなく、この二人はとっくに、日本の政治に害を振りまいているだけの存在になっていたのです。
政治家としての尊厳をいくらかでも取り戻したかったら、ふたりとも、一日でも早く、政界から身を退くべきです。
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小沢氏の選挙上手ぶりに引きずられてここまできてしまった(=小沢色を早い時期に払拭できなかった=未来に希望をつなぐ新鮮なイメッジを築き損ねた)民主党は次の選挙で惨敗することでしょう。…小沢氏流の醜悪な政治に国民=有権者は芯から辟易させられてきたのですから。
有権者は次の選挙では、小沢流の無理押しが通らない=話の筋がまっすぐ通る国に日本をするために投票すべきです。“国民の生活”を(政治の道具にするのではなく)ほんとうに第一に考える政党に投票するべきです。…そんな政党がまだあるとすれば。
少子高齢社会に入って国力の衰退がこれからますます顕著になっていくに違いない日本に、小沢一郎氏流の政治にもてあそばれるゆとりはありません。
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小沢氏とその一派の離党について、こんな記事がありました。
【民主分裂:小沢元代表離党 元の仲間からは冷ややかな声】毎日新聞 2012年07月02日 20時35分
<民主党の小沢一郎元代表の離党について、かつて小沢元代表と行動を共にし、後にたもとを分かった国会議員からは冷ややかな声が聞かれた><小沢元代表と共に新進党、自由党に所属した野田毅・自民党税調会長は「(小沢元代表は)新進党では消費税増税と言ったが、自由党では消費税ゼロと言い出した。あの人に政策はない。国家のためを考えない。選挙だけ。勝ってなんぼ。(政策を実現する)財源は勝ってから考える人なんじゃ」と突き放した><新進党に所属したことがある公明党の池坊保子衆院議員は「人間関係は信頼の積み重ねだが、あの人にはそれがない。選挙に強いという幻想を振りまき、寄る辺のない1年生議員らを集めただけ」と語った。離党にも「何回ぶちこわし、新党を作ったら気が済むのか。感情で動いているだけですね」と嘆いた>【青島顕】
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【小沢氏の“反増税”は噴飯もの!かつての盟友が大苦言】夕刊フジ(2012年7月7日17時12分)
<当選同期である自民党の森喜朗元首相は7日の産経新聞のインタビューで、「(小沢氏の行動は)まったく合点がいかない。消費税を導入した竹下登内閣で官房副長官を務め、細川護煕内閣で国民福祉税構想をぶち上げたのは一体誰ですか。福田康夫内閣の時に僕に『自民、民主の大連立で消費税を増税しよう』と持ちかけたことは忘れたのか」とし、「彼を支えてきた同志はみんな離れていった。家族もね…。命運尽きたかな。これ以上晩節を汚さない方がいい」と語った>
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第225回 国民をばかにしているのはあなたです、小沢さん http://d.hatena.ne.jp/kugen/20111224/1324679650 2011-12-24
第216回 小沢さん、それって誇大妄想では? http://d.hatena.ne.jp/kugen/20111005/1317767671 2011-10-05
第199回 決死隊 あなたが隊長になったら、小沢さん http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110504/1304462822 2011-05-04
第197回 小沢・鳩山氏 “後出しじゃんけん”でも敗北 http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110414/1302742788 2011-04-14
第192回 小沢さん、鳩山さん、もう消えてください http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110307/1299468431 2011-03-07
第190回 健在 “壊し屋” http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110217/1297940539 2011-02-17
第170回 知っています?「筋」って言葉?小沢さん http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100902/1283388618 2010-09-02
第169回 「歓迎 “壊し屋”小沢一郎」 http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100822/1282426632 2010-08-22
第161回 「役割を終える」のは小沢氏だけでは足りない http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100627/1277593573 2010-06-27
第152回 小沢色を払拭しなければ… http://d.hatena.ne.jp/kugen/20100323/1269338788 2010-03-23
第66回 小沢代表のカンチガイ http://d.hatena.ne.jp/kugen/20090511/1242045718 2007/11/24
第63回 民主党小沢代表の裏切り http://d.hatena.ne.jp/kugen/20090511/1242045358 2007/11/05
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第176回 鳩山さん、恥ずかしくないのですか? http://d.hatena.ne.jp/kugen/20101030/1288411850 2010-10-30
第185回 鳩山さん 無責任男はもういらない http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110104/1294121809 2011-01-04
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