第185回 鳩山さん 無責任男はもういらない

  新年早々に、否定的なことは述べたくないのですが…。
  昨年の日本の政治状況は「思い出すだけでもうんざりさせられる」ほど劣悪なものでした。
  それほど劣悪になってしまった要因を改めて考えてみますと…。
  与党と野党とを問わず、大方の政治家が「日本国民の現在と将来の暮らしと日本そのものを良くしよう」という意思を真剣に抱いていなかったということにまず思い至ります。
  「自分自身」「自分が属する派閥や人脈」「自分の政党」のことの前に、何よりも「国民」「日本の将来」を頭に置いて政治活動を行いつづけた政治家はただの一人も思いつきません。
  劣悪さが目立った政治家の名を、とりあえず一人だけ挙げますと…。
  一昨年からそれを引きずっている人物ではありますが、まずは、鳩山前首相=前民主党代表、この人ということになります。
  沖縄の米軍普天間基地の移転問題をどう処理するかという問題では「これ以上は考えられないほどの無能ぶり、無責任さ」を「これでもか、これでもか」というほど日本国民と国際社会に見せつけました。
  ★外国の元首=アメリカの大統領に向かってじかに「トラスト・ミー(わたしを信じて)」と言っておいて、問題解決のための努力を具体的には何もしなかった。国際的に信用をなくすことをここまで気にしない一国の首相!
  ★移転先を「国外、悪くても県外」にすると自ら何度も断言したことの重大さを理解できずに、「腹案がある」という大嘘をつくことはしても、「国外」についても「県外」についても、移転候補地を探す行動は一切起こしていなかった。
  ★自分の無策ぶりが知れると「(日米安保の実態を知れば知るほど)米軍(沖縄に駐在している海兵隊)の抑止力の重要性が分かってきた」などと、自分の無知さ加減だけをさらけ出す、一国の指導者としては愚か極まりない弁解に走って、「国外」「県外」への移転案をあっさりと放棄した。
  ★「国外」「県外」移転案を信じて、その実現の可能性に期待を高めた沖縄県民を裏切ったことへの自責の念があまりにも表層的で、軽々しかった。
  鳩山氏が拘泥していたらしい“友愛の政治”というのは、やはり、あの人の頭の中だけで花を咲かせていた空論だったわけです。
  鳩山氏は政局を無用に混乱させた主要“犯人”の一人でもありました。
  ★首相=民主党代表の座から身を退いたあと、「政界から引退する」と一旦は述べながら、首相としての自らの失態(と小沢元民主党代表の不人気)が招いた政局の混乱が顕著になり、民主党参院選挙で敗北すると、鳩山氏はあろうことか、自らの言動が生み出したその状況を正すためにと、と引退の意思を撤回し、自分勝手な“やる気”を見せて、大多数の国民をあきれさせた。
  ★「政治とカネの問題」で深い窮地に追い込まれた小沢元代表が「一兵卒宣言」をあっさりと取り下げて党の代表選挙に打って出たときに、小沢氏の身勝手さや非論理性を諭すどころか、“恩人で盟友”である小沢氏の尻にくっついて動き、民主党と政府をさらに弱体化させ、結果として国民に大きな迷惑をかけた。一人の(政治的には問題だらけの)“盟友”を助けるためには大局から平気で目をそらせることができる前首相!
  鳩山氏には、言葉の本来の意味での“自尊心”というもがありません。だれもがすでに気づいているように、鳩山氏の言葉はあまりにも軽すぎる=嘘っぽいのですが、能天気なことに、当の本人はそれに気づいていません。
  プロパガンダの達人だった小泉元首相には触れないことにして、安部、福田、麻生とつづいた自民党の最後の首相たちと“無能さ比べ”をしても、鳩山氏は負けません。無責任さの比較では頭一つ抜け出ているかもしれません。
  このような人物を何代もつづけて首相に戴いたというのは、日本人にとってはは実に不幸なことでした。
  このような首相を生み出してきた日本の政治システムには、たぶん、大きな瑕疵があるはずです。
  ですが、その瑕疵を長年にわたって容認しつづけてきたのは日本国民です。
  安部、福田、麻生氏につづいて鳩山氏のような無責任男を首相にまでしたことを日本国民は恥じるべきです。
  日本の政治状況が2011年に好転する兆しは、いまのところでは、まるでありません。劣悪さはつづくに違いありません。
  そんな状況を改める役を担うべき報道機関?日本のいまの報道機関は当てになりません。いえ、それどころか、日本の政界と同様に劣悪な状況にあります。国民を無用な混乱に陥れていれ、国民生活を悪くしているのは、実は、何につけても空騒ぎしかできない、画一化された報道界なのかもしれません。
  ですから、賢くなりましょう。自分の頭で物をよく考える国民になりましょう。
  それが、無責任で、我利我利亡者の政治家たちから身を守る唯一の手段であるようです。

  ところで、その“鳩山氏の盟友”である小沢一郎氏に関して…。
  産経新聞(2011年1月4日)がこう書いています。<民主党小沢一郎元代表は4日午前の民放BS番組の収録で、小沢氏が強制起訴された場合に自発的な議員辞職を検討すべきだとの考えを示した菅直人首相の記者会見について「首相は、僕のことなんかどうでもいいんで、国民のために何を一生懸命やるかが問題だ」と批判した。その上で「私自身のことは私と国民自身が裁いてくれる、判断してくれる」と述べた>(<小沢氏「僕のことはどうでもいい」 首相発言を批判>)
  小沢氏の思考回路が修復ができないほどに傷んでいることがこの発言からも良く分かります。この記事を読んだ国民の大多数は「首相が<国民のために何かを一生懸命にやろうとしてもできない>のは(その大半が)小沢氏のせいなのに!」と思っているはずです。それに、民主党への支持率が20パーセント前後にまで凋落したのは、小沢氏をすでに<国民自身が裁いて>いるからでもあります。そんな単純なことさえ見えない政界一の実力者?
  自己中心の屁理屈を繰り返し述べつづける形で、国民の知力を小沢者氏は長年にわたって小ばかにしつづけてきました。自分がいま窮地に陥っているのはそのせいだ、そのことを国民に戒められているのだ、ということに小沢氏が気づかなければ、この人の政治生命は間もなく終わるでしょう。