第91回 民主党は分かっていないようですね 2008/08/11 閲覧(218)

  <産経ニュース>(2008年8月9日)によると<民主党鳩山由紀夫幹事長は9日、宇都宮市で記者会見し、9月の党代表選について小沢一郎代表の3選を支持する考えを重ねて示した上で「選挙になっても、ならなくてもいい。自然体がベストではないか」と述べ、複数候補による代表選実施にこだわらない考えを示した>ということです。

  党と協議することなく自民党との“大連立”を画策したことが明らかになったあと小沢代表が辞意を表明したとき、いちはやく小沢氏に代表“続投”を要請し、民主党の姿が(自民党と取り立てて変わるところがない)旧態依然なものであることを明らかにして見せたのも、やはり、鳩山幹事長でしたね。
  先の参院選有権者民主党と他の野党に過半数議席を与えた理由が鳩山氏にはどうも分かっていないようです。

  あの選挙で有権者が言いたかったのは、枠を大きく広げて言えば<自民党政権のこれまでのやり方では日本=自分たちの暮らしはおかしくなってしまいそうだ>ということでした。<だから、ここは民主党と他の野党に投票して、自民党に考え直してもらわなければ>

  <ここは、何がなにでも、民主党政権でなければならない><民主党なら日本=自分たちの暮らしを必ず良くしてくれる>と信じて投票した人はどれぐらいいたでしょうか?
  年金・格差問題、景気後退など自民党に不利な状況がつづいているのに、最近の世論調査を見ても、民主党支持者の割合は特に大きくなってはいません。国民=有権者が思うところを民主党が理解していないからです。

  民主党は少しでも早く次の衆院選を行いたいようです。行ったら勝てると信じているようです。
  しかし、大勝したあの参院選からここまで、有権者=国民が<ああ、さすがに民主党だ>と感心するようなことを、民主党は何かやったでしょうか?
  たしかに、年金行政がでたらめであったことを国民に知らせる役割は果たしました。
  ですが、党の存在の基幹に関わるところでは<これが民主党だ>と胸を張って訴えられるようなことはほとんど何もしてこなかったといってもいいでしょう。インド洋での自衛艦によるアメリカ艦船などへの給油活動への明確な反対姿勢ぐらいなものでしょうね、それなりに意味のある党の意思決定というのは。

  つまり、<今度こそ民主党に政権を>と国民が考える=有権者が期待するようなことを民主党はほとんど何もやってきていないのです。
  それでも<次の衆院選では勝てる>?
  
  9月に、複数党員が立候補する民主的で開放されたな代表選挙を行わなければ、民主党は次の衆院選で勝てる可能性を大きく縮めてしまうでしょう。国民=有権者は<民主党自民党とはここが違う>というところを見たがっているのです。
  民主党も選挙なしで代表を決めてもいい?
  それでは、国民の目が届かないところで総裁になった福田康夫のケイスと同じですよ。自民党と同じことになりますよ。
  国民=有権者が望んでいるのは、分かりやすい意思決定過程です。
  小沢代表による“大連立”画策が民主党にとって大きな汚点であるのは、(その構想そのものが国民の意思に反するものだったことに加えて)それがまったくの暗闇の中で進行したからです。民主党=小沢代表が実は自民党と同じ体質であることが誰の目にも明らかになったからです。

  あのとき小沢氏に“辞意撤回”を求めた鳩山幹事長がここで「選挙になっても、ならなくてもいい」と、自己分析能力を欠いた、愚かなことを口にする=再度間違いを犯すのは、まあ、当然のことかもしれません。

  毎日新聞(2008年8月7日)によれば、民主党前原誠司副代表は<政策は常にブラッシュアップしなければいけない。代表選を通じて党をアピールすべきだ>と語っているそうです。また、地方県連幹部からも<オープンな政策論争で国民に党の政策を訴えるべきだ>との声が上がっています。
  当然の“声”です。国民=有権者が求めていることです。

  これまでの政治の流れがどうであれ、民主党は、その政策だけではなく、党の意思決定過程そのものがすでに自民党とは違って分かりやすい、ということを示していかないと、次の衆院選では勝てないでしょう。
  党利党略だけで行動する政治から脱却できる=政権獲得のチャンスを生かすか殺すかは民主党の考え次第です。
  相手=自民党の“失策”だけに頼って次期政権を狙うような政党でありつづけるようではとても−−。

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