第59回  読売社説のいいかげんさには、つくづくうんざりさせられます 2007/09/21 閲覧(239) )

July 21, 2017 追加
  【郷原信郎が斬る」 読売新聞は死んだに等しい 投稿日: 2017年6月5日】(https://nobuogohara.com/2017/06/05/%E8%AA%AD%E5%A3%B2%E6%96%B0%E8%81%9E%E3%81%AF%E6%AD%BB%E3%82%93%E3%81%A0%E3%81%AB%E7%AD%89%E3%81%97%E3%81%84/
  <今回、読売新聞が行ったことは、安倍政権を擁護する政治的目的で、政権に打撃を与える発言をすることが予想される個人の人格非難のため、証言をでっち上げたか、事実に反することを認識しつつ印象操作を行ったか、いずれにしても、政治権力と報道・言論機関の関係についての最低限のモラルを逸脱した到底許容できない行為である。しかも、そのような記事掲載は、上層部が関与して組織的に決定された疑いが強く、まさに、読売新聞社という組織の重大な不祥事である>
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  「こんな社説は読みたくない」がまるで随時連載のシリーズ企画のようになろうとは予想していませんでした。
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  <国際テロ対策として、インド洋での海上阻止活動に参加中の米英など8か国の貢献に対する「謝意」を明記した国連安全保障理事会決議が採択された。棄権のロシアを除く14か国が賛成した。
  決議は、アフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)の任務の1年間延長が目的だ。前文で、アフガンとインド洋で「テロとの戦い」を続ける「不朽の自由作戦(OEF)」に言及し、「ISAFとOEFを含む国際的な努力を継続する必要性」を強調した> (9月21日付・読売社説)
  そうか<米英など8か国の貢献に対する「謝意」>か‐と思って、たとえば、東京新聞の社説を読むと‐
  <謝意は「NATO指導力海上阻止行動を含め、ISAFとOEFへの各国の貢献に感謝を表明する」との表現で示されている。具体的な国名は記載されていない
  ‐とあります。
  ハリルザド米国連大使はこの中の<「海上阻止行動」の部分が「日本の貢献への謝意」だ>としているということですが、日本政府によるブッシュ政権への(慌てふためいた)要請・圧力にもかかわらず「具体的な国名は記載されていない」のです。
  しかも、現在のアフガニスタン情勢に関する安保理決議はこれまで全会一致だったのに対して、今回はロシアが<海上阻止行動が国連の枠外の話であることを理由に棄権に回っ>ています。<特定国の国内事情を優先した決議だ>と<批判して>もいるそうです。
  ところで、読売のこの社説は‐
  <1991年の湾岸戦争の際、日本は130億ドルもの資金を提供した。しかし、クウェートが米紙に掲載した広告で、イラクからの解放に貢献したとして感謝した30か国の中に日本の名はなかった。その教訓を忘れてはならない
  ‐と結ばれています。
  民主党に対して<海自を引き揚げ、資金援助に切り替えるような内容では、国際社会の失望を招くだろう>と言いたいがためです。
  さて、この結びで社説は、間違いなく、クウェートの「感謝」の中に「日本の名はなかった」ことで、日本の資金提供には意味がなかった‐日本は「感謝」されていなかった‐かのように言っていますね。
  ‐待ってくださいよ。
  冒頭の安保理決議にも日本の国名は見当たらないのですよ。
  だったら‐
  クウェートの場合と同じ論理的思考過程を経れば、今回の安保理決議にも「日本の名はなかった」のですから(米国連大使の私観がどうであれ)この決議は日本への「感謝」を示していない‐となるのが正しい筋道です。
  <だから、この安保理決議にも重大な意味はない>と導くのがまっとうな、筋が通った論理的思考というものです。
  自ら墓穴を掘る‐という言葉がありますね。
  日本の国名があるかないかをめぐって読売は、同じ社説の中でこのように、一方では<国名が記載されていなくても日本は感謝されている>と言い、他方では<国名がなかったから感謝されていなかった>と、まったく正反対のことを主張しているのです。
  どこまで信用できますか、こんなでたらめな社説が?
  もっと大きな問題は、社説を書いた人物がこのような論理の不整合を犯している‐筋の通らない、いいかげんな主張をしている‐のにそれに気づいていない‐ということかもしれません。
  恐ろしいことです。
  こういう社説を書きつづけているところを見れば、ついには辞任した安倍首相ほどの‐最低の‐理性さえこの書き手は持ち合わせていないのでしょうね。