いまの臨時国会での最大の争点は「＜テロ対策特別法＞をどうするか」になりそうです。
＜対策法＞の主な狙いは、アフガニスタンで対テロ戦争に従事している外国艦船への海上自衛隊による給油活動を認めるところにあります。
自民党は、この＜対策法＞があることによって日本は「テロとの戦い」に加わることができ、その結果、国際社会から多大の評価を受けている、と主張しています。
ところが、その＜特別法＞が自民党が主張するとおりキレイには機能していないことが先ごろ明らかになりました。
＜市民団体「ピースデポ」（横浜市）は（１０月）４日、海自補給艦ときわが直接給油した米補給艦ペコスは、空母キティホークに給油した後、対イラク開戦直前のペルシャ湾内で、米軍艦への補給活動を続けていたことを明らかにした＞（朝日新聞）というのです。
加えて＜ペコスから約８０万ガロンの給油を受けたキティホークが対イラク作戦に参加したこと＞も＜判明して＞います（同）。
＜同団体は「給油対象艦は対地・対艦攻撃の艦船などで、ペコスからの燃料は、大半がイラク作戦に使われたのではないか」と指摘している＞そうです。
対イラク戦争はブッシュ政権が、大方の国際世論を無視してその＜先制攻撃＞で始めた“悪い戦争”“汚い戦争”です。
アメリカがこの戦争をしかけたとき、イラクにタリバンやアルカイーダがいたという証拠はありませんでした。アメリカはイラクが大量破壊兵器を蓄えていると主張しましたが、イラク国内を探し回っても、それは見つかりませんでした。
アメリカ＝ブッシュ政権によるこの戦争はもともと＜テロとの戦い＞などではなかったのです。
国連も、この戦争とアフガニスタンでの多国籍軍による対タリバン・アルカイーダ戦争とを明確に区別して扱っています。
さて、上の証拠発見について高村外相は７日＜ＮＨＫの番組で「（海自の給油を受けた米艦船が）イラク作戦に行ったことはないと 思う 。 米国からもそういう回答を得ている 」と述べ、転用はなかったとの見解を明らかにした。米国防総省は日本政府からの照会に対し、転用を否定する回答をしており、この回答を政府としても受け入れる考えを示し＞（読売新聞）ました。
石破防衛相も同日＜米国から資料を取り寄せて防衛省で分析しているが、目的外に使用されたことはないという 心証を得つつある 」と述べた。また、他国の補給艦に対する給油に関して「目的以外の使用はしないということが何らかの形で担保されれば、補給艦に補給することを続けてもいい」と語＞っています。
「米国からもそういう回答を得ている」「心証を得つつある」というような政府の言い方には“覚え”がありませんか？
＜核を日本に持ち込んでいないと米国が言っている。日本政府としては米国政府の説明を信じる。だから、日本に核は入っていない」というオカシナ強弁をかつて聞いたことがありますよね。
７日の朝日新聞は＜日米両国が沖縄の「核抜き本土並み返還」に合意した１９６９年１１月、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領との会談直前に、両国間で返還後の沖縄に米軍の核の再持ち込みなどを認める「密約」を結んだことを明示する米政府の公文書が見つかった。密約の内容は当時の複数の米高官らが認めているが、「秘密議事録」と記述された米側の公文書が明らかになったのは初めて＞と報じました。
この公文書は＜キッシンジャー大統領補佐官（当時）からニクソン大統領にあてた６９年１１月１２日付と同１３日付のメモ。信夫隆司（しのぶ・たかし）・日大教授（日米外交史）が今夏、米国立公文書館で入手した＞ものだそうです。
これを見つけた信夫教授は＜「密約の存在が公文書のメモの中で明確に確認された。外務省は政府の信頼を高めるためにも自ら検証すべきではないか」と話してい＞ます。
日本への米軍による核の持ち込みについて、歴代の日本（自民党）政府は、疑惑が生じるたびに、その事実を否定してきました。
＜密約＞を隠し続けてきました。
正しく報告する義務があるアメリカ政府から報告がないのだから日本としては、核の持込はないと信じる（しかない）という屈辱的な態度に終始して、国民を欺きつづけてきました。
核は、自民党政府の了解の下で、日本に入っていたのです。
海上自衛隊の給油艦から油を受け取ったアメリカ戦艦が対イラク戦争に参加したとは聞いていない？
今回はどんな＜密約＞があったのでしょう？
自民党・公明党政府は＜特別法＞に関しても国民をごまかしづづけることができると信じているようです。
先の参院選挙であれほどの惨敗を味わったのに、国民をまだ甘く見ています。
…わたしたち＜国民＞はそこまで愚かなのでしょうか？
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