再掲載:第358回 あの安倍首相が「法の支配重要」だって!

    2015-12-01 記述

  

  政治家たち、ことに安倍首相に代表される自由民主党の議員たちは“筋を通して考える”ことがまったくできない、というよりは、“筋を通すこと”などまるで頭にない、無法者の集団ですよね。
  たとえば、AとBとは実は互いにまったく異なっているのに、右を向いてはAだと言っておきながら=Aをやっていながら、左を向いてはBだと平然と言い放つ=Bの行動に出てしまう、そう、自覚がない“多重人格”の持ち主ででもあるかのように。
  いやいや、安倍首相や自民党は、そうではありませんね。
  だって、彼らは、それが矛盾しているのだということを自覚しているのに、自己主張を押し通すためになら、あえて、意図的に、AをBだと、BをAだと傲慢に言いくるめることが政治だと思い込んでいるのですから。
  節操がない、義がない、道理がない、倫理がない、真理・真実がない……
  つまりは、考えること、主張することにいちいち“筋を通して”いたら、自分たちの存立基盤が崩壊すること=企図している政治上の詐欺行為を成功させることができない、ということを、間違いなく、彼らは熟知している、ということです。
  いやいや、安倍首相と自民党(それに加えて、公明党)の政治は、一から十まで、何から何までが、意図的な嘘・言い逃れ・欺瞞で満たされています。
  彼らの政治には“筋”というものがまったく通っていません。
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  ちょっと古いのですが次の記事を読んでください。
  【南シナ海問題、G20で提起 安倍首相「法の支配重要」】 2015年11月6日 東京新聞 (http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015110601001645.html
  <安倍晋三首相は6日、東京都内で講演し、南シナ海問題をめぐり、海洋での「法の支配」に基づく国際社会の協力が重要だとして「20カ国・地域(G20)首脳会合やアジア太平洋経済協力会議(APEC)などの場で、当事国や周辺国と原則を確認し合いたい」と述べ、今月行われる一連の国際会議で提起する意向を示した。中国もG20のメンバーに入っている> (共同)
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  「ちょっと待て!」と思うでしょう?
  あの安倍首相が「法の支配」ですって?
  冗談ですよね?
  だって、たとえば、(ふだんは自民党を支持している)人たちを含めて、90パーセント以上の憲法学者が、さらには、元の内閣法制局長官でさえが、「単に一内閣の解釈変更に基づく=正式の憲法改定手続きを経ないやり方はあってはならない」としている中で、安倍首相と自民党はあの“亡国好戦法”を、日本国憲法を蹂躙しきって、強引に“成立”させたのですよ。
  醜悪な、常習詐欺犯(あるいは、ナチスドイツ)ぐらいにしか思いつけないような、あの陰湿・卑怯な手口のどこに「法の支配」がありました?
  彼らは「絶対的多数派である俺たちが“合憲”だといえば、それは“合憲”なのだ」という“筋”がまったく通らない、民主主義も立憲・法治主義も完全に無視する主張で、さらには、国会議員たちが当然にも縛られるべき“憲法を順守する義務”に違反して、押し切ったではありませんか。
  日本国憲法の平和主義に守られて“戦後”の70年間を(ほかに類がないほど)安全に暮らしてきた国民を「亡国好戦法」で大きな危険に陥れる安倍首相と自民党(それに公明党)は、いまの道をこのまま猛進すれば、遠くない未来に、前の大東亜・太平洋戦争で、愚かな作戦をこれでもかとばかりに展開して、300万人以上の兵士を無残にも、主として餓死・傷病死させた高級軍人・政治家たちと並び称されるほどの“犯罪者”になることでしょう。
  そんな連中が外に向かっては「法の支配に基づく」ですって?
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  こんな記事もありました。
  【自公議員:立場変われば 民主政権「議事録なし」追及の9人 憲法解釈変更では「不問」】 毎日新聞 2015年11月08日 (http://mainichi.jp/shimen/news/20151108ddm041010140000c.html
  <集団的自衛権行使容認の閣議決定(昨年7月)を巡り、内閣法制局が検討過程を公文書に残していなかったことが判明したが、民主党政権時代にも東日本大震災関連の会議で議事録が作られていなかったことが問題化した。この時政府を批判した自民・公明両党の議員9人に法制局の問題について意見を求めたところ、回答したのは2人で、問題があるとする意見はゼロだった。【日下部聡、樋岡徹也】>
  <「ブーメラン、飛んできたねえ」。面談取材にただ一人応じた塚田氏は冗談めかして言った。2012年8月の参院決算委員会で、政府会議の議事録の作成や保存、公開のルールがあいまいだと当時の岡田克也副総理を追及し、早期のルール作りを求めていた> <しかし、法制局の問題については「長官が国会で長時間説明している。法制局にもあるのがベターかもしれないが、国会の議事録で補完されるのではないか」と、歯切れが悪かった>
  <「民主党は責任政党の名に値しない」。12年2月の参院予算委で批判した三原氏は、「内閣法制局において法に基づき適正に対処されたものと考える」と、事務所を通じ文書で回答。問題はないとの見解を示した。取材に応じたのはこの2人だけだった>
  <■解説> <公文書管理法第4条は政府機関に、「意思決定に至る過程」や「事務や事業の実績」について記録文書の作成を義務づけている>
  <例えば山口那津男公明党代表は「未曽有の原発事故に直面し、政府の対応を検証できるようにするため議事録を残すことは、現在の国民及び将来の国民に対する重要な政府の責務」と述べ、公文書管理法違反だと断言した> <今回の内閣法制局の問題も本質は同じだ> <憲法9条解釈の重大な変更をなぜ容認したのか、検証可能な記録が作られていない。公文書を残したり公開したりすることは、日本が民主主義国家である限り、政治的立場に関係なく必要なことだ> <与党だからといって法制局の問題に沈黙するなら、「ご都合主義」のそしりを免れないだろう。【日下部聡】>
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  「議事録なし」を「ご都合主義」的に解釈する自民党の馳文部科学相が、別の案件でこんな発言をしています。
  【記憶遺産登録に透明性を…ユネスコ文科相演説】 読売 2015年11月06日 (http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151106-OYT1T50021.html
  <【パリ=福田麻衣】馳文部科学相は5日午後(日本時間6日未明)、パリの国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)本部の総会で演説し、ユネスコの世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の文書」が登録されたことを踏まえ、記憶遺産事業の「ガバナンス(統治)や透明性の向上を含む改善」を求めた>
  国内では「透明性」の重要さを何かにつけて平然と踏みにじる自民党の大臣が、国外に向かってはいけしゃあしゃあと「透明性の向上」を求める?
  ほんとうに、“筋を通す”という考えがこの連中には微塵もないのですね。恐ろしいことです。
  こんな連中に国政を委ねていたら、日本は傾きます。
  国というのは、いったん傾き始めたら、その傾きの上をどこまでも転がり落ちてしまうことは、すでに歴史が何度でも証明していますよね。
  安倍首相が唱える「戦後レジームからの脱却」というのは実は“亡国への誘い”なのです。
  安倍首相と自民党(それに公明党)の「亡国詐欺政治」を止めなければ………
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