「朝鮮日報/朝鮮日報日本語版」(記事入力 : 2016/04/09 08:27 : http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/04/09/2016040900464.html)がこんなことを書いていました。
<2世・3世は、先人の積み重ねたものを生まれながらに受け継いだ人々だ。幼いころから、かしずかれることに慣れ、他人の感情を傷つける言行を自制する基本的エチケットすら会得できていないケースが多い>
「なるほど!」と頷きましたか?
一国の首相である安倍晋三首相が国会の委員会審議の最中に、首相の政策・方針を批判する野党側委員に対して、そうですね、「はしたない」「下品な」「傲慢な」「卑劣な」「口汚い」「論拠を欠いた」野次を平気で飛ばすのは「他人の感情を傷つける言行を自制する基本的エチケット」をわきまえていないからなのだ、と納得しましたか?
たしかに、日本の政界では<2世・3世の傍若無人な振る舞いが次々と明らかになっている。いちいち全て取り上げる必要もない、全く目も当てられない状況>になっていますよね。
すぐに思いつく名前だけでも、安倍晋三、麻生太郎、甘利明、石破茂、高村正彦、谷垣禎一、石原伸晃、岸田文雄、河野太郎、森喜郎……。
「朝鮮日報」はこうつづけています。
<既に「金のスプーン(苦労知らずの金持ちの子弟)」対「土のスプーン(貧乏人の子弟)」という社会の不平等に対する不満が、首のところまでせり上がってきている>
そのとおり。たとえば、保育園に子供を預けることができない=働きたいのに働くことができない=暮らしを良くしようがない=将来に希望が持てない=母親・家庭の深刻な状況が、安倍首相を代表例とする「苦労知らずの金持ちの子弟」である「2世・3世」にはまるで理解できていません。
体がもつかぎりは働きづづけているのに、それでも月収が生活保護費支給額にも達しない人びとが現実には増えつづけているというのに「わたしの妻のアルバイト月収が20万円だとしますと…」などといった“世間離れ”した=現実にはほとんどありえない=たとえ話で討論相手を煙に巻こうとして、その「苦労知らずの金持ちの子弟」ぶりをさらけ出した安倍首相を覚えていますよね。
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「朝鮮日報」はこう言い切っています。
<社員が貴いとも、他人に配慮すべきだとも思わない人間が、どうして巨大組織を率いて数多くの消費者の共感を引き出すことができるだろうか>
あれ?「社員」?「消費者」?
気づいていましたか?
ええ、「朝鮮日報」のこの記事は、実は、日本の2世・3世(国会)議員について書かれたものではありません。
そうではなくて、韓国の「財閥2世・3世の傍若無人な振る舞い」について書かれたものなのです。
文頭はこうです。<現代グループ創業者一族の3世、鄭日宣(チョン・イルソン)現代BNGスチール社長が運転手に暴行・暴言を日常的に加えていた事実が、元運転手らの証言で明らかになった。会社側は、A4用紙140枚分もある「随行運転手マニュアル」を作っていた。マニュアルを守らないと、鄭社長は口に出すのもはばかられる暴言をぶちまけ、拳で頭を殴ったという>
つづきはこうです。<マニュアルの内容は、とんでもないこと極まりない。「行こう」と言われたら稲妻のように走り、出発30分前から待機し、ヴィラ(低層マンション)に入る時は、奥様の睡眠を妨げることになるので呼び鈴を鳴らしてはいけない。鄭社長が早く行こうというときは、危険のない範囲で信号・車線・バス専用車線を無視せよという内容もある。マニュアルを守れないと罰点があり、罰点の累積によっては精神教育・けん責・減俸・退職措置が取られたという>
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「鄭社長が早く行こうというときは、危険のない範囲で信号・車線・バス専用車線を無視せよという内容もある」!!
「亡国好戦法」を成立させる過程で安倍首相が出した指示・命令がこうだったに違いないと思わせられますよね。
「法規・法令などを無視してでも(=首相と自民党が提出した「亡国好戦法案」は憲法に違反していると90パーセントの憲法学者たちが認定していようが俺は気にしない、とにかく)諸君には(日本国憲法なんかは無視して)何が何でも、俺がやりたいことをやってもらう(選挙立候補の際の公認権は俺が握っているということを忘れるな)!」
鄭社長と安倍首相の思考回路と手法はじつによく似通っていますよね。
社説の「社員(=国民)が貴いとも、他人(=少数意見の持ち主)に配慮すべきだとも思わない人間が、どうして巨大組織(=日本)を率いて数多くの消費者(=国民)の共感を引き出すことができるだろうか」という指摘はまるで安倍首相に向けられたもののようです。
いやいや、「幼いころから、かしずかれることに慣れ」た人物=安倍首相は、そもそも、国民の「共感を引き出すこと」も大事なのかもしれない、などとは考えたこともないでしょうが……。
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社説の結びはこうです。
<そのうち、財閥(=政治家・国会議員)2世・3世について、きちんとした人間性教育を受けたと立証された場合に限って企業を受け継がせる(=国会議員に立候補することを認める)法律を作ろう、という主張が出てくるかもしれない>
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ところで、「朝鮮日報」がその社説で“財閥”現代グループ創業者一族の3世を糾弾したのと同程度の鋭い舌鋒で日本の主要報道機関が(大スポンサーである)大企業(のトップ、あるいは、それに連なる与党有力政治家)を批判するのを見たこと、聞いたことがありますか?
日本では、マスコミによる権力への“へつらい”が国の在り方をを悪い方へ、悪い方へと向かわせていますよね。
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≪参考記事≫
【甘利氏の疑惑 説明責任はどうなった】朝日新聞 社説 2016年4月10日(日)付 (http://www.asahi.com/paper/editorial.html?iref=comtop_gnavi)
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【東京五輪組織委会長・森喜朗が五輪不祥事を報道してきた東京新聞に対して「スポンサーから外せ」と圧力!】リテラ 2016.04.10 (http://lite-ra.com/2016/04/post-2148.html)