第319回 「こう感じろ」と言ったらそう感じろ!

  「苦言熟考」は2006年の11月23日にこんなことを書いています。(【第35回 恐怖の<愛国教育>】http://d.hatena.ne.jp/a20e2010/20110722/1311287762
  いまでも古びてはいないはずです。長い引用になっていますが、読んでください。
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  <この番組(注:NHKの番組「クローズ・アップ現代」)で先日、恐ろしいものを見てしまいました> <わたしが「恐ろしい」と感じたのは、日本のある小学校である女性教師が実験的に行っていた“愛国心”を高揚させるための授業が紹介されたときでした> <この教師は、桜や紅葉で前景が飾られた富士山の美しいパネルを数枚用意して「四季のある日本はすばらしい」ということを生徒たちに教え込もうとしていました> <そのための“道具”としてこの教師は“南の暖かい国からやって来ている”スージーという女性を考案していました。そして、このスージーに「ああ、日本はいいな、四季があって。わたしの国には四季がないから単調でつまらない」というような意見を述べさせます> <まるで、南国に住む人たちがすべてそう思っているかのような扱いです> <こういう画一化を一方では“偏見”と呼ぶのではありませんか。教育の場で育てられ、煽られた“偏見”がファシズムの大きな武器として使われたのはそんなに遠い昔のことではありません>
  <この教師はスージーとかいう、自分が考案した女性に日本を美化するだけではなく、自分の国を卑下するようなことを言わせているのです。僭越というより、まったくの傲慢です>
  <ある女生徒が「四季があるとなぜいいのですか?なくても美しいものは美しいのではありませんか?」というような意味の質問をしたのです> <わたしはこの生徒の感性のすばらしさにすっかり感心してしまいました>
  <“愛国教育”の実験授業中の女教師は、彼女の主張に疑問を感じた女生徒に「だって、スージーの国では一年中、同じ花を見てなきゃならないのよ」と、脅迫的だとも思える“指導”を行い、NHKのナレイションによると、この女生徒も最後には「日本の方がいい」という意見に同調したということでした> <恐ろしい、と思いませんか? > <何を美しいと感じるべきかを強制的教えるのが“愛国教育”なのです、この教師には> <放っておくと、やがて日本中の学校がこういう教師であふれるようになってしまうかもしれません。…戦前のように> <“教育改革”“愛国心の高揚”などを謳い上げている安倍首相の狙いはそこにはない、と言い切れますか? > <煎じ詰めれば、事が何であれ、お上が「こう感じなさい」といったらそう感じろ、ということなのですよ、この手の“愛国教育”というのは> <他の国の人たちが彼ら自身の国を愛しているという事実を教えない“愛国教育”は実に危険です。それはむしろ“亡国教育”です>
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  8年後のいま、現実に起こっているのは−−
  「お上が、これが秘密事項だといえば、それが秘密事項だ」−−特定秘密保護法
  「!最高責任者は私だ!」−−憲法“解釈変更”
  「お上が、これが集団的自衛権を行使する事態だといえば、それが集団的自衛権を行使する事態だ」−−集団的自衛権の行使容認の閣議決定
  問答無用!
  安倍首相が唱えていた“愛国教育”が何を狙っていたのかが、いま、改めて明確になっています。
  “国民が権力の意のままになる国”に日本をしてしまおう、というのが“無法者”安倍晋三氏の宿願なのです。
  “全能”を装った(実は無責任極まりない)日本軍(と時の政府)が、日本人だけででも300万人以上を無残に死なせた、あの“大日本帝国”時代に日本を戻してしまおう、というのが“ならず者”安倍晋三氏が抱きつづけている大望なのです。それが安倍首相が夢想する“戦後レジームからの脱却”なのです。
  安倍首相の頭は、民主主義・立憲主義・平和主義という考えを受け入れる構造にはなっていません。
  安倍首相の頭は、中国や北朝鮮の方にがよほど向いた動き方をしています。
  自己中心の独善家、安倍首相を一日でも早く政権の座から追わなければ、国民にとって日本は、息苦しい、生きづらい、惨めな国になってしまいますよ。
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