第131回 完敗の理由がここでも分かる

  衆議院議員選挙で完敗した自民党には、物事をまともに考えられる人物がやはりいないようですね。

  <自民総裁選、28日実施へ 特別国会前「難しい」>(産経新聞2009.9.4 13:17)という見出しがついた記事によると−
  ①自民党の総裁選挙管理委員会野田毅委員長)は3日午前の会合で、麻生太郎首相(党総裁)の後任を決める総裁選を「18日告示、28日投開票」とする方針を確認した。
  ②党内には16日召集予定の特別国会の前に実施すべきだとの意見もあるが、野田氏は「党員投票を考えると難しい」とした。
  −ということです。

  なのに−。16日からの特別国会での首班指名選挙で誰に投票するかを自民党はまだ(4日午後1時現在)決めていません。
  *あそこまで完敗した衆院選を主導した麻生さんの名前を書くことになるだろう?−−「冗談はやめてください!」「それがどれほどぶざまなことかが分からないのですか!」
  *いくら何でも、選挙結果を完全無視するような、そんなことはできないから“白紙”を投じよう?−−「自民党はもう、党としての“誇り”さえ、もう持っていないのですか?」

  <党員投票を考えると難しい>ですって?  
  <各都道府県連に300票、国会議員票200票、あわせ計500票>という数でしかないのですよ。各都道府県連に300票を振り分け、投票するるぐらいのことが16日までにできない?
  あの選挙を自民党はその程度の能力で戦ったのですね。完敗したのも当然ですね。

  「とにかく早急に“新鮮で活力にあふれた”新総裁を選出して、特別国会では民主党に対抗するのだ」とは誰も考えない最大野党?

  いやいや、そうではなくて…。
  舛添厚生労働相が出馬しないという。小池百合子防衛大臣も「やめた」という。谷垣禎一財務相を推す声もあるが本人は態度をはっきりさせない。総裁選出馬に“色気”を見せているのは「白紙」の石原伸晃幹事長代理と「出るとも言わないし、出ないとも言わない」の石破農相ぐらい。
  つまり、16日までに総裁選をやりたくても、“新しい顔”は見当たらないし、立候補者がどんな顔ぶれになるかも、最終的に党員・支持者の大半が承諾できる総裁を選ぶことができるかどうかも、いまの自民党には分からないのだ?手の打ちようがないのだ?

  麻生さんが使った“先送り”作戦をここでも採用したのでしょうね。28日まであれば何とか体裁がつけられるのではないか、とあらぬ期待をしているのでしょうね。
  自民党には(「苦言熟考」がこれまでに何度も指摘してきたように)政党としての十分な活力がもうありません。“死に体”どころか、もう“死体”そのもの”になっています。

  そんな自民党なのに…
  <麻生首相は「(民主党内は)大変だろうな」と周囲に漏らした。甘利行革担当相は4日の閣議後の記者会見で「小沢氏が重要閣僚として閣内に入らなければ、政府与党の一体化はかなり怪しくなる」と語った。首相周辺は「選挙と内閣を分け強い体制でいこうということだろう」と分析。自民党幹部は「小沢さんを最大実力者と認めたことになる」、幹事長経験者は「『後ろの影におびえる小鳩かな』だ」と皮肉った>(朝日2009年9月4日11時45分)のだそうです。

  自党の総裁を迅速に選ぶことさえできずに大恥を曝しているのに、他党のことを<皮肉った>りしているときですか、自民党は?
  この政党は、やっぱり、骨の髄まで、自身が見えなくなってるのですね。

  衆院で絶対多数の民主党。−自民党の“野党力”に不安を覚えずにはいられません。