緊急再掲載 第63回  民主党小沢代表の裏切り 一般 2007/11/05 閲覧(255)

11月4日の夜‐

  民主党の小沢代表がきょうの夕、辞意を表明しました。

  同党幹部は<辞表は受け取りはしたものの、受理はしていない>と語っています。

  ですが…

  同党内の一部からも批判があったように、小沢氏はそもそも、福田首相自民党総裁)との二度にわたる党首会談に応じるべきではなかったのです。

  そう思います。

  一度目の会談のあと記者団に首相との会談を<密室会談>ではないかと指摘された際に小沢氏は<日本の首相が会って話したいと言っているんですよ。会わないと言うんですか?“密室”というのは見解の相違です>というようなことを語気を荒げて言っていましたね。

  安倍前首相に首脳会談を求められたときには<議論は国会で堂々とやるべきだ>と言っていたことをすっかり忘れたかのように…。

  今回の福田首相との会談は(民主党内の総意をまとめる手間さえ省いて行われた)密室会談そのものでした。

  小沢氏の第一の裏切りです。

  ご都合主義のこの豹変で実は小沢氏の、最大野党の党首としての資格はすでになくなっていました。

  7月の参院選反自民・反首相という国民の“意思”が明確になったのに首相の座にしがみついた安倍前首相と比べると、党代表を自ら辞すと述べた小沢氏の方が潔いように見えるかもしれませんが、小沢氏は安倍前首相と同じ大きな過ちを犯したのです。

  参院選政権交代の可能性に望みを託した国民の“意思”を無視して、自民党との政策協議=連立政権への道を探ろうとしたという…。

  読売新聞の社説が参院選のあと、自民・民主の<大連立>を推奨したとき<ステアク・セッセイ>はそれを、現在の<大政翼賛会>の勧めであり、議会制民主主義の成長・定着を害する危険な考えだという主旨の反対意見を述べました。

  小沢氏は<民主党の選挙公約を現実のものにするために>として、その危険な方向へ足を進めようとしていたのです。

  民主党案を参議院で採決して、自民党が絶対多数の議席数を保持している衆議院に送り、国会審議を通して実現させる‐という正しい道筋を無視し、密室党首会談に頼ることにしてしまって…。

  辞意表明後の記者会見で小沢氏は、同氏の持論であるらしい<国連決議があれば日本は(戦闘地域にでも)自衛隊を送ることができる>という考えを福田首相に飲ませたことを匂わせてもいましたね。

  <これはこれまでの憲法解釈を変えてしまうものだ>というような(自画自賛とも聞こえる)説明もしていました。

  自民党と連立して、民主党が選挙で約束したことの一部を(自民党公明党の了解を得て)実現する一方で、国連中心の外交政策を確立する…。

  そこに小沢氏の野心があったわけですね。

  いえ、国連を中心にした外交政策・方針は、それはそれとして明確な姿勢の表明です。民主党内にも反対があるようですが、一政党の党首の意見として耳を傾けることができます。

  各党・各政治家が意見を戦わせ、のちに選挙で国民の意思を問えばいいのです。

  しかし…。

  自民党との連立政権?

  民意はそんなものを求めてはいませんでした。

  自民党に政権から(少なくとも一度は)離れてもらおうではないか…。そうでなければ、<衆参両院の議席数のよじれ>で自民党にしばらく苦労してもらうではないか…。それが参院選で明らかになった民意でした。

  連立話に乗った小沢代表は、そのことを忘れて、いまこそ自分の野心を現実のものにできるときではないかと考えたようです。

  民主党内からの支持も得られると思い込んでいたのでしょうね。

  大誤算でした。

  小沢氏はさらに大きな裏切りも犯してしまいました。

  上の記者会見で同氏は<いまの民主党政権担当能力が十分ではない(だから自民党との連立が必要だと考えたのだ)>というようなことを言ってしまいました。

  党首がこのような発言をしたのです。この発言は次の衆院選自民党公明党候補に必ず利用されます。民主党は選挙前なのにすでに獲得票数を減らしてしまいました。

  民主党は小沢氏を引き止めるべきではありません。

  参院選民主党を大勝に導いた“顔”は汚れてしまっています。

  小沢氏には、一議員に戻ってもらって、自らの野心に翻弄されて一時民意が見えなくなってしまい、筋が通らない密室党首会談に走ってしまった自分の愚を見つめなおしてもらうべきでしょう。