第317回 アメリカ  “貧すれば鈍する”

  “貧すれば鈍する”の意味を「現代国語例解辞典」(小学館)で調べてみました。
  〔貧乏になると正しい判断力がにぶる〕と説明されています。
  長いあいだ、経済的にも軍事的にも“超大国”として、この地球上で、良くも悪くも、気ままに振舞ってきたアメリカの凋落ぶりがますます目立ってきています。
  その凋落が進むに従って、アメリカは「判断力」をにぶらせてきています。
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  アメリカ国民自身がその凋落ぶりを認めています。
  【米国民 薄まる「超大国」意識 共和党支持層で顕著】 東京新聞 2014年7月6日 (http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014070602000101.html
  <【ワシントン=斉場保伸】米調査機関ピュー・リサーチ・センターは、四日の米独立記念日に合わせ米国民の意識調査結果をまとめた。米国を「超大国」と思っている人の割合は二〇一一年の38%から一四年は28%に急落したことが分かった。一六年末にはアフガニスタン駐留米軍を完全撤退させるなど、「世界の警察官」から一線を引きつつある米国の内向き志向を反映したとみられる>
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  さて、そのうちの軍事面での凋落については次の三つの記事(の抜粋)を読んでください。
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  【集団的自衛権行使決定、米の歓迎表明に韓国が反発「日本に好き勝手に他国領土への欲望を抱かせる」—中国紙】レコードチャイナ 2014年7月3日 (http://3g.recordchina.co.jp/news.jsp?id=90588&type=13
  <2014年7月2日、環球時報(電子版)によると、安倍晋三内閣が他国への攻撃に自衛隊が反撃する集団的自衛権の行使を認めるため、憲法解釈を変える閣議決定をしたことについて、米国務省のハーフ副報道官は「日本での集団的自衛権に関する議論が国連憲章に基づき、幅広く行われてきたことに注目してきた。日本の決定を歓迎する」と語った>
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  【集団的自衛権:米国、韓中の反発を押し切って日本を支持】朝鮮日報  2014/07/02  ワシントン=ユン・ジョンホ特派員 , 北京=アン・ヨンヒョン特派員
  <「アジア重視(Pivot to Asia)」戦略を打ち出したものの、国防予算の増強が負担になっていた米国は、北東アジアにおける安全保障面でのパートナーに日本を選んだ。中国の台頭をけん制するためには、日本の集団的自衛権行使を許容し、米日同盟を強化することが欠かせないという計算がある。米国の支持を得た日本としても、軍事大国化に向け、さらにアクセルを踏み込めるようになった。安倍晋三首相が公言してきた「強い日本」を現実のものにする足掛かりを用意したわけだ> <日本政府が集団的自衛権の行使容認を閣議決定したことに対し、米国政府は公式に支持の意志を表明した国務省のジェーン・サキ報道官は、6月30日のブリーフィングで「日本は、必要なやり方で自国を防衛するあらゆる権利を有している」と語った。今年4月に訪日したバラク・オバマ大統領は、当時、集団的自衛権の推進を支持すると公に発言していた>
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  【アメリカ軍には「疲れの色」も 世界で高まる地政学リスク】[ワシントン 2日 ロイター](http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/04/us-army_n_5559304.html?utm_hp_ref=japan
  <昨年は米国の国防予算が大幅に削減される一方で、2001年9月11日の米同時多発攻撃以降、米軍が最も行動を求められた年の1つとなった。過去10年以上にわたって戦争を行っている米国には、疲れの色がにじみ始めていると懸念する声も出ている> <CSIS(註:米戦略国際問題研究所)は2日発表した報告書で、米国防総省の基本予算は2012─2021年に約2割減る可能性があると指摘。米国社会の高齢化が進むなか、医療や社会保障に振り向ける支出が増えるため、国防費の削減圧力は「弱まらない」との見方を示した> <2011年まで米海軍大将を務めていたゲイリー・ラフヘッド氏は「混迷が深まる世界の傾向はすぐには変わらない」とし、「現在は海と空で対処できるレベルだが、時間が経つに従って、米軍に深刻な負担を強いるようになる」と述べた>
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  日本国憲法を解釈“壊憲”して集団的自衛権の行使を容認する方向に安倍晋三自民党政権が突っ走った背景が上の三つの記事からも容易に分かりますよね。
  “貧すれば鈍する”
  経済財政的に凋落しつづけるアメリカは“事の是非を考慮する余裕がない”国に成り果てかかっているのです。安倍晋三自民党政権は、狡猾なことに、そこを突いて暴挙に出たのです。
  “事の是非”というのは−−。
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  【集団的自衛権容認を批判=「民主プロセスむしばむ」−米有力紙】 時事通信 2014/05/10 (http://www.jiji.com/jc/zc?k=201405/2014051000011
  <【ワシントン時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は8日、安倍晋三首相が憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認を目指していることについて、「憲法9条を無効にしようとしている。そのような行為は民主的プロセスを完全にむしばむものだ」と批判する社説を掲載した> <同紙は「首相は憲法の第一義的役割が政府の力を抑制することにあると知るべきだ。政府の思いつきで変えられるものではない」と強調。「現状では首相の野心を止められるのは公明党だけで、8野党は混迷を深めている。日本の民主主義は本当の試練に直面している」と指摘している>
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  <日本での集団的自衛権に関する議論が国連憲章に基づき、幅広く行われてきた>ですって?内閣(自民党公明党)だけでの議論のどこが「幅広く」なのか?
  本来は憲法が定めるところに従って行われるべきの“改憲”を、議席数の多さをいいことに、力づくで解釈“壊憲”することが正しい<集団的自衛権の推進>方法なのか?
  「首相の野心」に基づいた、安倍晋三自民党政権による、民主主義や立憲主義を破壊しつくす暴挙を“暴挙”と断じる“理性”と“正義感”を、アメリカ政府はすでに失っているということですね。
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  日本国憲法の多くの部分がアメリ憲法を模範としているのですよ。安倍晋三自民党政権による日本国憲法の破壊は、つまりは、アメリ憲法の基本理念を踏みにじるに等しい暴挙であるのですよ。なのに、その暴挙をアメリカ政府は歓迎・支持する−−。
  アメリカの凋落を悪用して日本を“歯止めのない軍事国家”にしようという安倍晋三自民党政権の暴挙に肩入れするしか、いまのアメリカ政府にはないというわけですね。
  “貧すれば鈍する”
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  言うまでもないことですが、集団的自衛権の行使を“壊憲”で可能にしようという暴挙をアメリカ政府が歓迎しているからといって、そこに正義があるわけではありません。
  “貧すれば鈍する”
  安倍晋三自民党政権がどのように説明しようと、勘違いしてはいけません。アメリカが日本のためを思って、日本による集団的自衛権の行使を歓迎しているのではないことは明らかです。アメリカはただただアメリカの便益のために、“ならず者集団”安倍晋三自民党政権と手を組むことにしただけです。
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  自分の身の回りに目を向ければ理解できることですよね。ある状況を作り上げるために不正(卑劣)な手段を用いる者は、その作り上げた状況を、必ず、不正(卑劣)に利用しようとします。そういう者は、悪に悪を重なることを厭いはしません。
  自国の憲法を平気で破壊する“ならず者集団”である安倍晋三自民党政権の暴挙を支持・歓迎してしまったことを、アメリカ政府はいつか必ず後悔します。
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  大量破壊兵器を隠し持っていると難癖をつけて対イラク戦争に突入したことがアメリカのいまの凋落の大きな原因となっているという事実から、アメリカ政府は学ぶべきです。
  自分が見たいように相手(対象)を見ることで過去に犯した失政(!ヴェトナム、イラクアフガニスタン!)から、アメリカ政府は教訓をつかみ取るべきです。

  正しく評価する努力もなしに“ならず者集団”安倍晋三自民党政権と手を組むこと=平和主義・立憲主義を支持する日本国民の過半数の憂いを無視すること=がどれほど危険であるかをアメリカ政府は、手後れになる前に、知るべきです。  
  “貧すれば鈍する”
  アメリカという国もずいぶん危険なところに来てしまったものですね。
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