安倍晋三が日本を破壊し続けている 6

  再掲載 【第52回 安倍首相は「反省」という単語の意味が理解できていない

  参議院議員選挙の結果が出ました。

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  読売新聞インターネット版(2007年7月30日)は「与党惨敗・過半数割れ、民主第1党に…安倍政権に打撃」という見出しで報じています。

  「打撃」を受けているはずの安倍首相は昨夜…。

  読売新聞によると<「惨敗の責任は私にある」としながらも、「私の国づくりは、まだスタートしたばかりだ。改革を進め、首相として責任を果たしていかなければならない」と述べ、引き続き政権を担う意向を表明し>ています。

  日本では過去20年ぐらいのあいだに「頑固に味にこだわる…」というような薄気味悪い表現が、特に広告の世界で、流行してますね。いえ、この二つの単語のこういう使い方はもう、日本人の日常生活の中に定着しているとさえいえるでしょう。

  「頑固」と「こだわる」が本来持っていたマイナスのイメージを逆用して商品を際立たせ、売っていこうという魂胆が作りだした用法ですが、同じ効果を狙ってだれもがこれらの言葉を使うようになってからというものは、日本には、自分だけの価値観に「こだわる」融通が効かない意固地な「頑固者」が激増しているように見えます。

  たとえば、自分の店の料理の味が悪く、売り上げが減少しているのが周囲のだれの目にも明らかなのに「オレはオレの味に頑固にこだわりつづけるんだ」と叫びつづけるシェフのような人間です。

  売り上げが減っているのはオレの料理の味が悪いからではないか、オレの接客方法に問題があるのではないかなどとは考えない、そういうふうには反省しない人間です。

  それで自分のレストラン、製菓店、弁当屋などが成り立たなくなり、ついには倒産するということになっても、それは自業自得で、日本国民全体の福利を左右することはありません。

  しかし、こういう人間が一国の首相だということになると…。

  この選挙で与党が「惨敗」したのは、その「私の国づくり」「改革」を国民が嫌ったからではないか、とは安倍首相はまったく考えていません。

  守銭奴たちを閣僚として迎え入れておきながら、彼らの悪事が露見しても、自分の責任が問われることを恐れるあまり、適正に対応しなかった(できなかった)無能な首相にはとても「国づくり」などという重大なことを任せるわけにはいかない、と考えた国民が民主党を勝たせたのだ、とは安倍首相は思っていません。

  選挙の大勢が決まったあとのNHKの番組で安倍首相は「反省すべき(点)は反省して…」と何度もくり返しました。

  やっとそのことの重要さに気づいたNHKの質問者に「何を反省するということか」と尋ねられて安倍首相が例として挙げたのは「年金処理に不手際があった」ということだけでした。それも、実に煮え切らない言葉と表情で…。

  「年金」「政治とカネ」などの問題が突出してしまって「憲法改正」「教育改革」「美しい国づくり」などを選挙の争点にしそこなったことを逆手に取って安倍首相は、これらの件については国民は反対していない、と強弁するつもりになっています。

  安倍首相は「反省」などしていません。言葉の真の意味で「反省」ができる人物ではないのです。

  自分の(途方もなくはた迷惑な)信念に「頑固にこだわって」いるだけの人物なのです、この首相は。

  こんな人物に日本を「倒産」させてはなりません。

  与党は「惨敗」しました。しかし、衆議院は与党がまだ3分の2の議席を占めています。安倍首相の(少なくとも表面上の)強気の根拠がここにあります。

  民主党と他の野党には気を抜く時間はありません。

  国民も「ちょっとお灸をすえておいたから、あの自民・公明党ももう傲慢な政治はやらないだろう」などと安心していてはいけません。

  周囲の状況に冷静で知的な目をやらない「頑固者のこだわり」は簡単には消滅しないものです。

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