情報隠蔽で権力は国を支配し、国を亡ぼす

  「森友」「加計」問題でこの上なく明らかになったのは、自民(公明)政権とそれに盲従する官僚の(一般人が常識で理解できる範囲をはるかに超えた)情報隠蔽体質です。
         *
2017年9月11日に追加>
 【戦略特区めぐる文書管理 まるで不透明化の勧めだ】(https://mainichi.jp/articles/20170910/ddm/005/070/009000c) 毎日新聞 社説 2017年9月10日
  <問題の再発を防ぐのであれば、利害の対立する省庁間の調整過程を記録に残すことをルール化すべきだ。行政文書を保存・公開する意義は、政策決定の結果だけでなく、その経緯を記録する点にこそある。それにより権力の行使に不正がなかったかを検証できる。民主主義の根幹だ>
  <加計問題では、学園関係者がヒアリングに出席した事実が議事録に記載されなかった。政府に不都合なことは議事録に残さないことがルール化される懸念がある>
               *


  「苦言熟考」はたとえば【第373回 情報への無頓着が大日本帝国の復活を許す(2016-07-06)】などで、その「体質」への危惧を示していました。
  権力は嘘をつきます。安倍自民党(と公明党)政権は嘘にまみれてしか政治を行わない、卑劣・危険な“亡国”集団です。
  では、「情報」に関する国民の側のとらえ方はどうなのでしょうか?
  国民の側の「正しい情報」への無頓着・無関心が、実は、安倍傲慢政権の強権政治=横暴を許してきたのだ、とは思いませんか?
          *     *
【第373回 情報への無頓着が大日本帝国の復活を許す(2016-07-06)】を再読してください。
                 *

  日本人が全体としてはいかに“正確な情報を伝える(得る)”ということに無頓着(無神経)であるかが、参議院議員選挙の投票日を数日後に控えた今日(7月6日)、【改憲勢力3分の2強まる 自民60前後、参院選終盤情勢】(東京新聞 2016年7月6日 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016070501002104.html)といった報道で、またまた明らかになりました。

  選挙の争点ぼかし(憲法破壊の意図隠し)に躍起となっている自民・公明党の卑劣な戦術を打破・論破できない野党の惨状は目を覆いたくなるほどになっています。……選挙の争点を明確にすることすらできないのですから。

  いやいや、嘘とごまかしだらけの自民党公明党の政策・約束に欺かれて、3分の2に達する議席を彼らに与えようとしている(らしい)有権者の“知性・良識”の衰退ぶりは、実は、野党側の知的劣化以上に深刻な状況だと言うべきなのかもしれませんね。

               −

  「苦言熟考」は長いあいだ、繰り返して、報道機関を代表とする日本人全体の日本語力の貧弱化が日本を傾かせている、と主張しつづけてきました。

  日本語力が貧弱になると、“正確な情報を伝える(得る)”ということがいかに大事であるか、同時に、“筋”が通っていない議論がいかに危険であるかが国民に理解できなくなる、と考えたからです。悪意に満ちた政党・政治家連中に国民がいとも簡単に騙されることになりかねない、と危惧したからです。

  この選挙は「苦言熟考」が危惧していたとおりに「国民がいとも簡単に騙される」方向へと突き進んでいるようです。

               *

  “正確な情報を伝える(得る)”ということを国民がどう見ているかを知る一端として【第202回 野球場の距離表示からでも始めますか】(2011-06-01 http://d.hatena.ne.jp/kugen/20110601/1306903930)の一部を再掲載します。

               −

  <野球というのはおかしなスポーツですよね。だって、ホームランや安打の数を一本ごとに、打率や防御率を何厘何毛まで、それぞれ細かく競うくせに、球場ごとに、ホームプレイトから外野ウォールまでの距離が違っていても、また、ファウルフライのテリトリーの広さが異なっていても、それはかまわないことになっていますからね。球場の形によっては、打者に有利だったり投手に有利だったり、右打者よりは左打者の方がホームランが打ちやすかったりするはずなのに……> <さて、そこで…> <日本のプロ野球の球団が本拠地にしている球場のうちのいくつがホームプレイトと両翼・センターのウォールまでの距離を明示しているか知っていますか?そんなことは気にしたことがない?マニラでも見られるNHK国際放送のプロ野球中継やスポーツニュースの映像から推察する限りではほとんどないようですが…?>

  <ちなみに、大リーグの本拠地球場でその距離が示されていないところをわたしは知りません。いや、大リーグの球場には、日本の大方のものとは違って、ボストン・レッドソックスのフェンウェイ・パークやサンフランシスコ・ジャイアンツAT&T パークのように、球場の形がいびつなものも少なくはありません。ホームプレイトから左翼と右翼の端までの距離が大きく異なっているだけではなく、その両翼間のウォールまでの距離も、あそこでは長くここでは短く、でこぼこに造られているという具合に。ところが、それでも、距離表示はそのいびつな形状に合わせてちゃんとされているのですよね> <日米間のこの違いはどこから来ているのでしょう?> <日本とアメリカでは情報というものへの考え方が根本的に違っているのだと思っています。> <アメリカ人、少なくともアメリカの野球ファンは、おそらくは、野球というスポーツは一本、一打、何厘何毛を競うものだから、戦う場の形状がそれぞれに異なっているからには、その違いを明示して、つまりはできるだけ正確な情報をフェアに提供して、ファンに了解、納得してもらうべきだ、と考えているのです。ファンの方も、フェアな情報なしには野球が十分には楽しめない、と>

  <日本はどうでしょう?プロ野球球団はなぜ、本拠地の外野ウォールの距離表示をさけるのでしょう?> <自分の球場の、ホームプレイトから外野ウォールまでの距離があまりにも短くて、野球ファンを騙しているようで、恥ずかしいから?事実をちゃんと見つめて対処しようとしない、実にみみっちい考えですね、そうだとすると> 

  <とにかく、その理由や動機はどうであれ、正しく詳細な情報を野球ファンに提供してファンに楽しんでもらうという第一義のサーヴィスを日本のプロ球団が忘れきっていることは明らかだと思われます。いや、熱心なファンにとってはそんな距離情報が重要なのだという認識がそもそも球団側にはないのだ、というのが正しい分析なのかもしれませんね> <一方で、ファンの方も、距離表示がないことに抗議することはありません。だれかが抗議したというような報道に触れたことはありません。距離表示は、平均的な日本の野球ファンにとっても、重要な情報ではないのでしょうね。球団もファンも、そこまで追い求めることなく、「まあ、いいか」「そんなもんかな」などというところで思考を止めしまって?>

               *

  この選挙ででも「まあ、いいか」「そんなもんかな」という国民の姿勢が顕著です。

  しかし、ここは“娯楽”気分でいていい場面ではありません。日本とその国民の将来を自民党公明党に暗澹としたものにされかねない瀬戸際なのです。

  心ある有権者は、「まあ、いいか」「そんなもんかな」というこれまでの姿勢を捨てて、せめて、インターネットを通じて入手できる、例えば【憲法「改正」問題 ― 自民党改憲草案の4つの問題点】 (http://www.jclu.org/constitutionalissue.html)【JCLUからのメッセージ ― 自民党改憲草案の4つの問題】 (http://www.jclu.org/kenpouqa.html)などに目を通してから投票所に行くべきです。

  日本を真に愛する者は、えせ愛国=亡国者集団である政府・自民党などに国を滅ぼさせてはなりません。

  中国や北朝鮮のような、国民の自由が奪われた、息苦しい国に、日本をさせてはなりません。

               *

  [参考記事] 【 特集ワイド 「雇用改善」は本当か 安倍首相は「アベノミクスの成果」と言うが…】 毎日新聞 2016年7月6日 東京夕刊 (http://mainichi.jp/articles/20160706/dde/012/010/002000c

  <有効求人倍率改善の主因は労働力人口減? 増え続ける非正規の割合>

               *

  [7月8日に追加]

  「苦言熟考」の2016年4月1日発【第366回 日本を“新・大日本帝国”にさせてはならない】(http://d.hatena.ne.jp/kugen/20160401/1459492399)は次のような個所を含んでいました。

               −

  安倍首相とその徒党が憲法を改変・破壊したあとに何を狙っているかは、たとえば、次の記事を読むだけでも十分に見えてくるでしょう。

  【特集ワイド:自民党改憲案 アノ独裁国家そっくり?】 毎日新聞 2015年06月30日 東京夕刊 (http://mainichi.jp/shimen/news/20150630dde012010003000c.html

  <実は自民党が掲げている憲法改正草案からして、北朝鮮共産党一党独裁の中国の憲法と似てきているのだ。【吉井理記】>

  <まず、次の文章をお読みいただきたい。(1)「公民は国家の法および社会主義的生活規範を守り(中略)尊厳を守らなければならない」 (2)「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」 (3)「国民は憲法および法律を順守し(中略)社会の公徳を尊重しなければならない」>

  <(1)は北朝鮮憲法82条、(2)は自民党憲法改正草案(2012年)102条、(3)は中国憲法53条だ。どれも国民の憲法尊重義務、つまり「国民は憲法を守れ」ということだ>

  <「ここに自民党の目指す国家像が透けて見える」と指摘するのは、憲法学を専門とする早稲田大教授の水島朝穂さんだ。「まず憲法は国家権力を縛る目的で制定するもので、国民を縛り、従わせるためのものではないのです。これが立憲主義、つまり近代国家の基本であり憲法を守る義務すら国民に押しつけてはならないという考えで、だからこそ米英仏などには規定がない。自民党改憲案はそこを逆転させ国民を縛る、という。北朝鮮や中国に近い考え方です」>

  <水島さんが解説する。「改憲案の前文は『日本国は長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴(いただ)く国家であって……良き伝統と……』などとある。憲法に文化や歴史、伝統について特定の見方を書き込むのも北朝鮮や中国と同じです」>

  <確かに中国の前文は「中国は世界で最も古い歴史を有する国の一つである。中国の諸民族人民は、ともに輝かしい文化を築き上げ、栄光ある革命の伝統をもっている」、北朝鮮も「(北朝鮮は)偉大な領袖(りょうしゅう)金日成同志と偉大な指導者金正日同志の思想と指導を具現した主体(チュチェ)の社会主義祖国である」とある>

  <「自民党の問答集に『立憲主義は義務規定を設けることを否定しない』とあるが、疑問です。欧米の自由主義諸国では義務規定は極めて少なくかつ例外的。自民党案はこの点でも北朝鮮や中国と似るんです」(水島さん)>

          *