[前説] 2020年のオリンピック(とパラリンピック)の開催地を東京に招致しようとしていたときには「東京ほど安全な都市はない」というようなことを全世界に向かって公言していた安倍晋三首相がいま、平然として前言をひるがえし、今度は「“共謀罪”を罰する法律を作らなければ、テロ活動に脅かされて東京オリンピックを開くことができなくなる恐れがある」と、ここでも声高、したり顔で叫んでいます。
いかにもこの卑劣な人間にふさわしく、この間にどんな状況の変化があったかの説明は一切しないでおいて……
条文をあいまいにしておき、数を頼んで政権・与党がその解釈をほしいままにすることで、大日本帝国下の治安維持法と同様に国民の自由をしばりつけることが可能になる法律を強引につくりあげなければ開催できないようであれば、オリンピックなどは東京(日本)で開くべきではありません。
そんなオリンピックはいますぐに返上するべきです。
諸外国に向けては「東京は安全」だから開催させてくれと言ったおなじ口で、国内向けには「“共謀罪”を新たに法律として成立させない限り、東京は安全ではない」?
おかしすぎるではありませんか。
安倍首相・自民党(と公明党)の二枚舌に騙されつづけてはいけません。
安倍首相らの「日本を再び大日本帝国にする」という歪み切った野望を実現するためにオリンピックが利用されています。
日本国民は絶対に“共謀罪”の成立を許してはいけません。
自民党は代々「事実を尊重する政党」であったことはありません。嘘に嘘を塗り固めることで政権を維持してきた政党です。
そしていまその頂点に立って大嘘をつきまくっているのが安倍首相です。
* *
【第61回 日本国内の史実をここまで曲げようとするのだから…】2007年10月18日
−
10月17日、共同通信は<自民党有志でつくる「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」会長の中山成彬元文部科学相は17日午前、沖縄戦での集団自決に関して旧日本軍の強制の記述が教科書検定で削除された問題で「軍の命令、強制は当然あったと思う。沖縄戦について、国会議員も国民もあまりに知らなさ過ぎる」と述べ、記述回復を図る動きに理解を示した>と伝えました。
「国会議員」はともかく、「国民」までが「あまりに知らなさ過ぎる」と断じた文科相には…
「国民をばかにしてはいけません。その国民‐主に沖縄県民‐が<それは史実に反する><日本軍の強制はあった>と大反対したからこそ、文科相自身も‐次の選挙で自民党が不利になる材料を残さないようにと‐削除を支持することにしただけでしょう?」
「無知だった‐知らん振りして史実を歪めようとしてきた‐のは、文科相、あなたや自民党だったじゃありませんか」
などと言いたくなりませんか?
そもそも今回、旧日本軍による強制という記述を教科書から削除させることに検定官がした根拠は、これまでに報道されたところによると、事実上、ただ一つでした。
作家の大江健三郎氏にその本の中で<沖縄県民に集団自決を命じた>と名指しされた旧軍人が<オレは命じていない>と、大江氏を相手にした裁判で主張した‐ということだけです。
初めから旧日本軍の“業績”をプラスに見直すことに全力を傾けていた検定官は<ここぞ>とばかりにこの旧軍人の主張に飛びついたわけです。
まだ数万人はいると思われる沖縄の生き証人を黙殺して…。
ところで、教科書検定官はこれまでずっと、旧日本軍による中国での蛮行を過小評価するか、否定するかしつづけてきています。
中国側の生き証人の証言(や、日本国民にはまだ知らせていない‐日本に都合が悪い‐史料)を無視・黙殺して…。
いえ、ほかならない日本国内‐沖縄‐で旧日本軍が行った非人道的な行為を‐沖縄県人の真摯な証言にさえまったく耳を貸さずに‐歴史から消し去ろうとした検定官です。
旧日本軍の中国(国外)での非人道的な行いを歴史から葬り去ろうと最大級の“努力”を彼らがしてきたはずだと想像しても、大きく外れてはいないでしょうね。
従軍慰安婦問題で「旧日本軍による強制はなかった」という大半の自民党員の主張も、それに盲従する教科書検定官の態度も、同じ根から出ていますよね。
旧日本軍の過ちを素直に認め、将来再び同様の過ちを犯さないための反省材料にする‐というような考えは、この人たちにはまったくないようです。
史実を否定し、隠すことしか、この人たちには考えられないのです。
自らに自信が持てない、全身が劣等感に包まれた人たちなのでしょうね、こういう人たちは?
恐ろしいことです。
共同通信によると、「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」は<集団自決に関する検証小委員会(萩生田光一委員長)を設置、今月中に初会合を開き、生存者や研究者を招いて聞き取りを進めることを決めた>そうでが、同時に<教科書検定制度は堅持すべきとの立場を確認>もしています。
教科書検定制度が日本の歴史を曇らせています。
そのことを認めないで行う<聞き取り>にはあまり期待できないでしょうね。
―――――――――――–