再掲載 第51回 進路を間違えたのでは、安倍首相?

  # これは、安倍晋三が(第一次の)内閣総理大臣だった2007年に書いたものです。

          *

  安倍首相にいくらか“才能”があることを改めて知りました。…社会のためになるとは、とうてい、思えませんが。 
          ————–
  堂々とウソがつけるという才能です。
  饒舌な人は<自分はシャベリがうまい。だから、いつでも相手を言い負かせることができる>という錯覚に囚われていますから、十分に、あるいは慎重に考える前に、頭に浮かんだ(愚かなことを)何でも口にしてしまう傾向があるようです。
  日本国の首相にそういう人物がなっている現状は残念な限りですが、安倍首相は、どうやら、その典型的な一人だと思われます。

          *
  「800円ですよ。月800円の人を辞めさせるのですか」
  赤城徳彦農水相の“不透明”経費報告に関して、安倍首相はあるテレヴィ討論で、しゃあしゃあと、声を荒げて、そう言ったそうですね。
  問題なのは、この「800円」が何かということです。
  安倍首相が指摘したこの「800円」という数字は、赤城農水相が報告した<後援会の2005年度分光熱水費9600円>から割り出したものです。
  「05年までの10年間に計上された後援会の経常経費は約9000万円」「内訳は、事務所費1631万円、人件費5353万円、光熱水費794万円、備品・消耗品費1266万円」(<東京新聞>2007・7・9)という、支出を証明する領収書などが一切添付されていない、全体として非常に不透明な経費の中から、特に。
  その光熱水費だけについていっても「後援会の収支報告書では、99年分の131万円のほか、98年の129万円、01年の109万円など、800円どころか、月約10万円前後を費やしていた時期が続いていた」(東京新聞)ということです。
  安倍首相が持ち出した数字は、額がいろいろだった光熱水費の中から格別に小額だった年の分を、意図的に、選び出したものだったのですね。

          *
  こういう手口は詐欺師が好むものだと思い込んでいませんでしたか?
  外国語学校のNOVAなどが受講希望者をペテンにかける際に使いそうな手口だと思いませんか?
  100%のウソではないが、事の真実とは大きくかけ離れていることを、臆面もなく、言い放つ、という点で。
  そうしておけば、大方の人びとを騙しとおすことができる、とこういう人たちは信じているのでしょう。

          *
  ですから、こういう人たちは、仲間の政治家が「両親が住む実家(茨城県筑西市)を(後援会)事務所として茨城県選管に届け、2005年までの10年間に約9045万円の経常経費を計上」(東京新聞)していたこと、さらに、その後援会の「代表者の元茨城県議」が「<勝手に代表にされた。事務所に実体はない>と証言した」(東京新聞)こと、「実家に住む赤城氏の母親」が「<電気、水道代は私が支払っている。選挙の時に秘書や事務所の人が来るが、ここに人を集めることはない>と話した」(朝日新聞)ことなどが明るみに出たあとでも、自分の落ち度、あるいは犯罪行為を頑として認めないのですね。

          *
  参院選挙。すでに閣僚二人の辞任、一人の自殺…。
  まあ、認められない、という事情が安倍首相にも赤城農水省にも、同じ穴のムジナとして、あるわけですが…。
  こういうペテン師の論法を国民の前で、恥ずかしげもなく、というより、得意満面で展開する人物が日本の首相なのですよ。
  ありもしない<大量破壊兵器>を「ある」と言い張って対イラク戦争に突入した(戦争犯罪人候補者)ブッシュ米大統領と、そのスケールは異なりますが、安倍首相は本当によく似ています。
  二人とも“天性のペテン師”なのかもしれませんね。
  少なくとも、その論法はそうです。
  アメリカ人の大半は、いま、ブッシュ大統領をいったんは支持したことを後悔しています。

          *
  日本国民が、特に、今月の参議院議員選挙で、安倍首相のこのような低次元のウソに、これ以上、惑わされないように、と願わずにはいられません。

          *

【参考記事】

www.tokyo-np.co.jp

  www.washingtonpost.com