安倍晋三が日本を破壊し続けている 9

再掲載 【第43回 「大変申し訳ない】

    やはり、その場ししのぎの発言ですよね。

          -----

  安倍首相がアメリカのメディアに「当時の慰安婦の方々に人間として心から同情するし、そういう状態に置かれたことに対し、日本の首相として大変申し訳ないと思っている」「20世紀は人権が世界各地で侵害された世紀だが、日本にも責任があり、例外ではない。慰安婦として彼女たちが非常に苦しい思いをしたことに対して責任を感じている」と語ったそうですね。

  発言の内容自体は、日本の首相としては当然そうであるべきで、異論はありませんが、さて、この首相がどこまで真摯にそう語ったかというと、おおいに疑問があります。

  たとえば、文部科学省は最新の教科書検定で、第二次大戦末期に起きた沖縄での<集団自決>について<日本軍の強制があった>という見方を採った教科書すべてに<修正意見>をつけて、強制の事実をあいまいにさせています。

  <集団自決>を日本軍が強制したことはなかったことにしようという態度と<従軍慰安婦計画の実行に際しては日本軍の直接関与はなかったことにしようという姿勢には共通した“根”があります。何があっても<大日本帝国><大日本帝国軍>の存在を肯定しようという意思です。

  ですから、アメリカのメディアに向けたこの発言の中でも安倍首相は、「当時の慰安婦の方々」に「申し訳ない」とは言っていますが、日本軍と日本政府がどの程度関与したかについてはまったく触れていません。「慰安婦として彼女たちが非常に苦しい思いをしたことに対して責任を感じている」とは述べていますが、では<どこがどう、そしてだれ悪かったか>についても言及していません。

 

  安倍首相の「申し訳ない」には具体性がないのです。

  できるだけ一般論で逃げ切ろうという意図が見えすぎています。

  日本の<責任>を語ろうというときに、地を出して、つい「20世紀は人権が世界各地で侵害された世紀だが」などと逃げの言葉をつけ加えてしまうわけですね。

  事実認識に根づかない侘びは単に、首相の胸の中に「自虐」を忌む心を育てるだけに終わることでしょう。その心が<大日本帝国>への首相の愛慕をさらに大きくすることでしょう。

  実に危険な回路です。

  ところで、安倍首相は、開会中の国会で審議に入った教育三法の改定について「公立学校の再生は待ったなしだ」と述べています。

  主として何がやりたいのかというと①国が地方自治体の教育委員会にいっそう強く指示できるようにする②教師の免許を更新制にして、不適格な教師を教壇から取り除く、の二点です。

  道州制の導入が検討され<地方への分権>が望まれ、経済の自由競争(規制緩和)が最大限に持ち上げられている中、安倍政権は、教育に関しては(文部省が教科書検定制度を使って日本の教育を破壊してきた事実を覆い隠して)中央集権をさらに強化しようとしているのです。

  強化しておいて、自民党政府に批判的な教師に、基準があいまいな「不適格」の烙印を押して追放しようとしているのです。

  何のために?

  自民党長期政権がやってきたことを見ればあきらかです。

  日本を<大日本帝国>に似せて再構築したいのです、安倍政権は

  つまり、安倍首相は、教科書検定が破壊した教育の<申し子>なのですね。

  安倍首相は、東条内閣の商工大臣だったことから限りなくA級戦犯に近かった祖父岸信介の影の中でしか生きられない、小心で臆病な、視界が狭い、不正直な政治家に、なるべくしてなっているのです。

  <こんどアメリカに行ったときに慰安婦問題でマスコミに批判されたり、議会に冷たくあしらわれたらいやだから、ちょっとだけ謝っておこう>というようなことしか考えない、こんな人物に政治を任せていては日本はだめになります。国民、特にいまの青少年が誇れる国ではなくなってしまいます。

  困ったことです…。

               *